追悼と感謝、亡き師に送った「365日の絵手紙」 別府市で原野さんが個展【大分県】

小池さんを追悼し、感謝を込めた絵手紙展を開いた原野さん。2年分の730点が並ぶ=別府市のトキハ別府店
作品について説明する原野さん(右)
小池さんから「いい色だね」と褒められたブロッコリー。2020年2月ごろに描いた

 【別府】東京都の絵手紙作家・書家小池邦夫さん(享年82)への追悼と感謝を込めた絵手紙展が別府市のトキハ別府店で開かれている。師匠と仰ぎ、長年、交流していた絵手紙講師原野彰子さん(55)=南立石、中津市出身=が企画した。「先生は私の人生を変えた。世界を広げた」と原野さん。31日まで。

 原野さんは脳性まひで手足が不自由。車椅子を利用して生活する。小池さんとの出会いは絵手紙を描き始めて1年ほどたった1999年10月。「絵手紙」の創始者とされる小池さんの公開講座(大分市)に参加し、絵手紙への情熱やエネルギーをもらった。

 むくむくと膨れ上がった思いをしたため小池さんに送った。「私の夢は個展を開くこと。かないますか」

 返信には「描き続けることが大事。365日、毎日足跡を残してください」とアドバイスがあった。これをきっかけに、2000年1月から1年間、小池さんに絵手紙を送り続けた。

 翌年、小池さんは1年分の絵手紙をまとめて送ってくれた。その作品を飾り、初個展を開くことができた。また、個展を機に絵手紙の仕事をするようになった。

 20年の1年間も小池さんに絵手紙を送った。「毎日、絵手紙を描くマラソン企画に参加しませんか」とのお誘いがきっかけ。初心に返って挑戦した。

 「師弟」の交流は昨年8月に小池さんが死去したことで終わった。感謝の思いを込め企画名は「小池先生へ送った365日の絵手紙」展。2年間送った絵手紙730点を中心に展示。小池さんに送った巻き紙十数点、小池さんからの絵手紙や書など約60点も並ぶ。

 「取りえもなかった私が先生の『ヘタでいい、ヘタがいい』の言葉で支えられ描き続けられた」と原野さん。「薫陶を受けた1人として、これからも絵手紙の魅力を伝えていきたい」と話している。

 20日は午前11時~午後2時まで、絵手紙制作ワークショップを開く。

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