デザインの手法で学校面白く 松阪の不登校支援校 年々生徒数増やし注目 三重

【独自の教材で生徒に算数を教える森松さん=松阪市曽原町の地立おもしろい学校で】

 全国で不登校者が過去最多を更新するなか、三重県松阪市曽原町に一昨年秋、デザイナーらが運営する不登校者の学びと成長をサポートする学校「地立おもしろい学校」が開設された。年々生徒数を増やし、注目されている。

 デザイン事務所「ドラゴンブルームス」(津市)の丸川竜也代表(51)が創設し、デザイン事務所「KBデザイン」(津市)の森松千恵代表(48)が校長を務める。

 森松さんは「デザインは絵を描いたり物をつくったりすることだけでなく、魅力を伝えたり課題を解決することが本来の役割」と語り、「問題の本質やニーズを見つけ、アイデアを形にし課題を解決していくデザインの手法や考え方で、学校を面白くしていきたい。子どもたちにデザインの考え方を伝え、激動の時代を生き抜くことに役立ててほしい」と話す。

 同校には小学校1年生から高校2年生までの8人が通う。不登校になった理由はさまざま。学校は月・水曜日の週2回。午前は学習の時間、午後は自由時間となっている。面白く勉強できる工夫をこらし、算数の学習では謎解きゲームの要素が盛り込まれたオリジナル教材を制作。計算をたくさんしないとクリアできない仕様で、生徒らは競い合いながら楽しんでいる。

 自由時間では、森松さんらが独自の教材を用いてデザインの概念や手法を教え、身の回りに起きた問題を取り上げて生徒みんなで解決方法を考える。協力者のクリエイターやボランティアスタッフらが講師となり、絵を描いたり野菜を育てたりする創作や体験活動もある。

 保護者からは「子どもの表情や言動が変わっていくのを実感している」「この学校は、子どもが子どもらしくいられる居場所だと感じる。また問題にぶつかったときの対処法を教えてもらっている」という声が寄せられているという。

 森松さんは「子どもたちには、問題にぶつかっても柔軟に適応し、未来を自由にデザインできるよう、さらなる体制強化、プログラムの充実を図っていく。そのためにも協力者の輪を広げ、分校や協力校を増やしていきたい」と抱負を話した。

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