旧動燃労組差別訴訟 原子力機構に賠償命令 主張の一部認める 水戸地裁判決 茨城

判決を受け垂れ幕を掲げる弁護士ら=水戸地裁

労働組合活動で原子力研究開発の安全確保などを要求したことで賃金や人事の差別を受けたとして、旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)の元職員6人が、同機構に対し約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、水戸地裁で開かれた。広沢諭裁判長は「おおむね差別的取り扱いが認められる」として原告側の主張を一部認め、同機構に約4690万円の支払いを命じた。

判決によると、動燃は遅くとも1981年3月ごろまでに、動燃内の労働組合員の思想傾向や行動を調査し、ランク付けして主要業務から外すなど差別的な扱いをしていた。それまでの担当業務と関係しない雑務をさせたり、定年まで32年間洗濯場の業務を担当させたりした。

広沢裁判長は、元職員5人について昇級や昇格が認められなかった結果、昇給においても著しく低い処遇を受けたと認定し、「勤務状況に昇級昇格の遅れを正当化するような点は認められない」と指摘。受け取った賃金や退職金と、同期職員への支給額との差額のうち、時効となっていない分の請求権を認めた。残る1人については、時効を理由に請求を認めなかった。

原告の椎名定さん(69)は判決後の記者会見で「差別政策による処遇だったと裁判所が認定してくれたのが一番大きなうれしさ」と評価した。

同機構の広報担当者は「本件についてはコメントを差し控える」とした。

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