長崎県文化財 新たに2件指定 諫早市・天祐寺の木造如意輪観音坐像 平戸市・生月勇魚捕唄

天祐寺の木造如意輪観音坐像(諫早市提供)

 長崎県教委は14日、「天祐寺の木造如意輪観音坐像」(諫早市)と「生月勇魚捕(いさなとり)唄」(平戸市)を新たに県文化財として指定した。これにより県指定文化財は計400件(うち有形文化財の美術工芸品127件、無形民俗文化財23件)に達した。
 県文化財保護審議会(立平進会長)が答申していた。県教委によると、同像は高さ53.5センチの寄せ木造り。目や衣など全体の表現や構造から、運慶や快慶で知られる慶派仏師による13世紀前半の作品と考えられている。衣の模様や立膝の姿勢が共通することから「天祐寺の木造四面菩薩坐像」(1705年造像、2020年度県指定)に影響を与えた可能性もあり、県央地域の信仰の在り方を考える上で重要な意義を持つ、と評価された。

生月勇魚捕唄を演奏する地元保存会(県教委提供)

 生月勇魚捕唄は、江戸時代に生月で日本最大の捕鯨集団を組織した益冨家が冬から春にかけた出漁期の始まりなどに大漁を願って歌い踊っていた。現在、踊りは途絶えたが、ばちを高く振り上げて速いテンポで連打する締め太鼓と歌を地元保存会が継承。明治30年代以降に終わった生月の捕鯨文化を伝える貴重な遺産としている。
 保存会の近藤芳人会長によると、来年は益冨家が捕鯨を始めて300年の節目。「認めてもらえてありがたい。気持ちを新たに継承に尽力していく」と喜びを述べた。

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