犬の肥満・がんが増加中⁉ 意外な理由を獣医師が解説

近年、肥満やがんと診断される犬が増えているといいます。なぜ近年になって増えたのか、その意外な理由について、ふだんから多くの患者さんの診察にあたっている、獣医師の重本仁先生にお話を伺いました。

肥満が増えている理由

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コロナ禍でお出かけの機会が減ったため、「かわいそうだから」とついおやつを与えてしまい、犬を肥満にさせる飼い主さんが増えています。

家にいる時間が増えて、愛犬の相手をするついでにおやつを与えすぎてしまう、また、外出自粛を気にして散歩時間が短くなくなり、運動不足から肥満につながるケースもあるようです。

肥満はさまざまな病気の引き金に

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犬の肥満は、次のような病気の引き金になります。

骨関節炎

肥満で体が重くなると、圧力で骨や関節にかかる負担が増えて、骨関節炎を発症することが。進行すると激しい痛みを伴い、重症化した場合は立つことさえ困難になるでしょう。

糖尿病

肥満はさまざまな臓器の機能を低下させるめインスリン分泌をおこなう細胞の働きを阻害して、糖尿病を引き起こす一因になることも。

腫瘍

肥満は腫瘍の発生リスクを高めることがわかっています。食べすぎなどで体内に糖が余ると、大量のインスリンが分泌され、これにより腫瘍の細胞が増殖しやすくなるのです。

皮膚病

肥満になると自重で皮膚の摩擦や湿気が増えるため、擦過を含み、さまざまな皮膚病を引き起こすことがあります。さらに、肥満細胞から炎症物質が出て、皮膚炎を発症することも。

がんが増えている原因

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犬のがんが増えているのは、医学の進歩で悪性腫瘍の発見率が上がったためです。近年はとくにCT検査の精度が向上していて、ごく小さな病変も見つけられるように進化しています。

これまで原因不明とされていた病気も早期発見が可能となり、愛犬の命を守ることにつながっているのです。

犬の病気にはさまざまな原因がありますが、飼い主さんの意識によって防げるものもあります。ふだんから愛犬の様子をよく観察して、心配な変化があれば動物病院に相談しましょう。

お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「いぬのきもち」2023年12月号『しつけインストラクターと獣医師に聞きました! 意外な理由で増えてる イマドキの病気・ケガ』
文/江村若奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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