Z世代を「優秀な人材」に育てたいなら…〈ほめて伸ばす〉がベストな方法と言える“意外なワケ”

年を重ねると、つい口走ってしまう「最近の若者は…」という一言。しかし、世代が違えば価値観が違うのは当然ではないでしょうか。「Z世代」の考え方を踏まえてかかわることで、彼らは仕事でも大きく伸びる可能性があり、能動的に動く優秀な人材となり得ます。Z世代の取扱説明書 Z世代社長が語るリアルな本音』(サンクチュアリ出版)の著者である白附みくる氏が、Z世代の仕事への熱意を高めるために大切な「声かけのコツ」を紹介します。

「他人の目を意識し、美しさを大切にする」Z世代

ある経営者の方が、「いまの若手層は、40代、50代と違って、表立って人の悪口をいわないね」といっていました。

たとえば、「Aくんって、こんなところが駄目なんだよね」とは絶対にいわず、「(Aくんは)こんなにいいところがあるんだよ」と返してくる。でも、実際のところどう思っているのかはわからない、とのことでした。

おそらく、人の悪口はいっている、もしくは思っているはずです。

ただ、Z世代は他人からどう見られるかを重視しているので、「まわりの人たちに『あいつは人の悪口をいうやつだ』と思われたくなくて、いい子ぶっているのかもしれません。

他人の目を意識しているというよりも、「他人の目で生きている」といってもいいほどです。

ほかにも、他人の目から見てかっこいいかかっこよくないか。美しいか美しくないかも、とても大切な基準になっています。

美容整形をする人が増えていたり、男性がメイクをしたりするのも、この世代の特徴なのかもしれません。

若者も年配者も「お互い様」

綺麗事に聞こえるかもしれませんが、上の世代はもっとZ世代の話を聞き、Z世代も目上の方々の話を聞く必要があると感じています。

若者たちが「年配の人たちは、SNSをまったくわかっていないんだよね」と、自分たちの活躍の場を設けてくれないことへの不満を口にする一方で、上の世代の方々も「いまの若い人たちは…」といっているので、お互い様な部分もあるのではないでしょうか。

SNSを使いこなすZ世代を企業が活かすには、まず脳みそを切り替える練習を一緒にしてあげることです。

Z世代を「指示待ち人間」にしないためにできること

SNSを使いこなしているZ世代は、食事をするにも物を購入するにも、SNSの情報で行動するのが当たり前になっています。ところが、いざSNSで企業情報を発信するように言われても、自分がどのように選択しているのか脳を切り替えることができないケースが多く見られるのです。

小学生のころから友人との写真を集めて画像や動画を当たり前につくってきた世代なので、画像や動画の編集に抵抗がある人はほとんどいません。

ですから、キレイな画像や動画などの制作物をつくることはまったく苦ではないのですが、「本当にこれで商品を購入したいと思える?」と尋ねると、「買うかなぁ…ほしいとは思わないかも…」となってしまいます。

でも、「自分が購入するときにAとBのどちらを買いたくなりますか?」と、脳内を消費者目線に切り替える手伝いをしてあげることで、クオリティがどんどん上がっていくでしょう。

Z世代の人たちは、機能や構造、やり方さえわかればすぐできるようになるので、社内で新しく何かを始める際に、「こんなに難しいものを任せても大丈夫かな?」と迷う必要はありません。一度触れてもらえばできることが多いでしょう。

ただ、「こうするのが正解だよ」といわれてしまうと、それ以外のことをしてはいけないのではないか、とためらう可能性もあります。わたし自身も、就職したときにパソコンの操作をしたことがなかったのですが、自由にやらせてもらった瞬間にできるようになりました。

触れれば絶対にできる世代なので、いっそのこと任せてしまい、「好きに使って。わからないことがあったら聞いてね」という指示をしたほうが、伸びるのではないかと思っています。

また、Z世代はネットで調べる能力に長けているので、何かわからないことがあれば適切なキーワードを入力して検索し、答えを見つけてしまいます。

そのほうが、頭に入りやすいともいえます。

ですから、「絶対こうでなければいけません」というよりも、「ある程度自由にしていいよ、ここだけは気をつけてね」と声をかけてあげるほうが取り組みやすいでしょう。

Z世代は基本的に、ほめて伸びる人が多いので、否定的なことをいうよりも、ほめることを優先してください

「いや違う、これはこうしなきゃいけない」というと「それなら最初から教えてほしい…」と思ってしまいます。「ここまではできているから、ここだけ変えてね」といえば、「ここまでは自分で考えて動いていいんだ」となるでしょう。

指示されたことばかりをしていると、考える力が養われなかったり、自分で動いたら怒られると思ってしまったりするので、ある程度任せて、成果物をほめてあげてください。

この流れができると、「自分で考えて動こう」という発想になるはずです。

白附 みくる
株式会社OMOCHI代表取締役

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン