佐賀県の学芸員、文化財保護主事らが研究成果を報告する「ふかぼりMUSEUMS(ミュージアムズ)+G」が14日、県庁で開かれた。佐賀市蓮池出身で煎茶の中興の祖として知られる売茶翁(ばいさおう)が江戸中期の日本画家、伊藤若冲の「心の師」であったことなどを紹介した。
県立博物館・県立美術館の安東慶子主事が、売茶翁から贈られた漢詩「丹青活手妙通神(絵画技法が神に通ず)」に若冲が感激し、印にして作品に押したことを紹介。「動植物中心で、人物画をほとんど描かなかった若冲が、売茶翁の肖像画は6点も残している。禅僧をやめて茶を売る自由な生きざまで、文化人たちの精神的支柱だった」と解説した。売茶翁の生誕350年となる2025年に「売茶翁と若冲展」を検討していることを説明した。
このほか肥前磁器の銘、肥前名護屋城草庵茶室の復元、旧石器時代のブランド石材の研究も報告された。
報告会は、歴史文化研究の情報発信力を高めようと初めて開催。農業などの試験研究機関による報告会「SAGAラボ10+G」をこれまで実施し、山口知事は「理系だけでなく文系も実施して良かった。歴史的に重要な位置を占め、発掘しがいがある県と感じる。古代から近代まで力を合わせて頑張っていきたい」とあいさつした。(大田浩司)