75歳で「貯金100万円」を切りました。年金は「月10万円」ですが働くべきでしょうか?

老後の生活にかかる費用の目安

老後の生活にいくら必要なのか、なかなかイメージできない方もいらっしゃるでしょう。

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」による、65歳以上の単身無職世帯における平均支出を表1にまとめました。

表1

※総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者作成

65歳以上の生活では、平均で毎月15万5495円のお金が必要です。年金の10万円から上記の支出を差し引くと、5万5495円足りません。毎月の年金で足りない分を、自分たちの貯蓄で賄う必要があります。

75歳から貯蓄100万円で生活できるのか?

平均値での結果ですが、年金10万円で生活するとなると毎月5万5495円足りないことが分かりました。

毎月の不足額を年間に換算すると、66万5940円になります。今回のケースである「100万円の貯蓄」では、1年半ほどしか生活できません。支出が年金受給額を上回るようであれば、働いて収入を確保する必要があるでしょう。

もちろん上記金額はあくまでも平均額であり、家庭によって支出には差があります。節約して支出を年金で賄えるほどにおさえられれば、貯蓄を使わなくても生活できるでしょう。

しかし、高齢になると病気やけがのリスクが高くなったり住宅の修繕費が必要になったりするため、いざというときのためにある程度の貯蓄があると安心です。

老後資金が足りない場合にすべきこと

「十分な貯蓄がない」「平均よりも支出が多い」などの場合には、何かしらの対策を考えなければいけません。

具体的には、家計を見直して支出を減らすか、働いて収入を確保するといった方法が有効でしょう。

最近では、高齢の方でも働きやすい環境が整いつつあります。

厚生労働省 高齢者雇用対策ラボ「高齢者雇用の3つの柱」によると、「高齢者がその希望と能力に応じて活躍し続けることができる、正垣現役社会を実現するために、『1企業における雇用・就業環境の整備』『2中高年齢者等の再就職支援』『3地域における多様な雇用・就業機会の確保』といった3つの柱で構成される施策を講じています。」とされています。

就業環境の整備のみならず、再就職の支援として就労に対する相談や職業紹介などといった取り組みがされているので、老後資金に不安がある方は、このような支援を活用しながら働くことを検討するといいでしょう。

年金で老後の生活費が賄えない場合には働くことを検討しよう

老後の生活において年金は収入の柱となりますが、支出が年金を上回る場合には貯蓄でやりくりしなくてはなりません。しかし十分な貯蓄がない家庭では、支出を減らしながら働いて収入を確保する必要があります。

定年のタイミングで老後の生活に不安がある方は、再雇用や再就職を検討しましょう。

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要(18ページ)
厚生労働省 高齢者雇用対策ラボ 高齢者雇用の3つの柱

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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