「やっとここまでこれた」名古屋・今池に映画館誕生 3月16日OPEN「ナゴヤキネマ・ノイ」の館内へ

テレビ愛知

名古屋市千種区の今池に新たなミニシアター「ナゴヤキネマ・ノイ」が、3月16日土曜日にオープンします。ナゴヤキネマ・ノイの「ノイ」はドイツ語で新しいという意味。一度は、経営難で閉館したミニシアター「名古屋シネマテーク」のスタッフらが全国から資金を集め、その跡地で新しい映画館として“新たな”一歩を踏み出しました。

名古屋シネマテークのこれまでの歴史を振り返りながらナゴヤキネマ・ノイの支配人に話を聞きました。

2023年に41年の歴史に幕を下ろした「名古屋シネマテーク」

ナゴヤキネマ・ノイ

名古屋シネマテークは1982年に誕生。スクリーンは1つで客席数は40という小さな映画館でしたが、地方のミニシアターの先駆けとして全国に知られていました。取り扱う映画の中には大規模な劇場では上映されない作品が多く、社会問題を取り上げた国内外のドキュメンタリー映画など約7500本の映画を上映してきました。

名古屋から映画文化を発信する場所として多くの人に愛されてきましたが、娯楽の多様化などにより2000年ごろから客足が徐々に減少。2023年には惜しまれながらも41年の歴史に幕を下ろしました。

過去の面影を残す空間に

スクリーンがある部屋

地下鉄・今池駅から徒歩3分の場所にある「今池スタービル」。その2階にあるのがミニシアター「ナゴヤキネマ・ノイ」です。入口近くでチケットを購入し、受付から向かって左手にあるスクリーンで映画を鑑賞。スクリーンは1つ、席数は40です。

座席は茶色のシートに張り替え、中にはクッションを詰めてより快適な座り心地を実現。名古屋シネマテークを居抜きしてつくられているので、以前の趣を残す空間になっています。壁全体はシックな青色で統一され、落ち着いた雰囲気が漂います。

映写機は名古屋シネマテークのものを使用。音響は今池にあるライブハウスの方のご厚意で大幅に改良され、臨場感のあるサウンドが館内に響き渡ります。

アンケート調査

ナゴヤキネマ・ノイの支配人・永吉直之さんに、映画館オープンについての心境を聞きました。

――この地に再びミニシアターをつくることは簡単ではなかったと思います。今の気持ちをお聞かせください。

「2023年12月にナゴヤキネマ・ノイの新設について発表をして、多くの方のご支援・ご協力いただいて、ここまでやってくることができました」

――クラウドファンディングで当初1000万円募られたそうですね。

「予想をはるかに上回るペースでご支援いただきました。正直、全く考えていない結果でした。ありがとうございました」

――ミニシアターを残そうと考えた理由について教えてください。

「『映画館をやりたい』という気持ちが大きいです。もともと今池は映画館が多くありました。しかし少しずつ減ってしまい、地域の皆さんも寂しい思いをされていたと思います。それも後押ししていただいた理由の1つだと感じます」

全国のミニシアター、7割近くは「経営状況良くない」

経営状況は厳しい

しかし決して楽観視できないデータもあります。全国のミニシアターを運営する方に、現在の経営状況についてアンケート調査を行ったところ、7割近くのミニシアターで「経営状況が良くない」といった回答が出ました。

「今後1年以内に閉館する可能性があるか」という質問では、8割近くのミニシアターが「可能性はない」と答えています。一方で、1割の方は今後、1年以内に閉館する可能性があると回答しています。

――永吉さんはこのデータについて、どのように捉えていますか。

「7割の方が経営状況に不安があると出ていましたが、実際はもっと多いのではないかという印象があります。映画館は良い映画を上映すること、そして映画を観に来ていただくことの2つを両立させないといけません。これは難しく、どのようにしたら良いか不安もあります」

ナゴヤキネマ・ノイ支配人・永吉直之さん

――今後どう存続させていくかが大切ですね。

「存続させることは大きな課題です。こうすれば上手くいくというのはありません。1つ1つ試しながら模索していくことになると思います」

「ノイ=新しい」という言葉通り、まさに新しく今池に誕生したミニシアター。今後、どのような作品が上映されるのか、そしてどのように映画文化を存続させていくのか、目が離せません。

※永吉の吉は正式には「土に口」

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