中国国営テレビの取材を妨害、中国記者協会が異例の声明、地元当局は謝罪―独メディア

14日、独ドイチェ・ヴェレは、中国河北省で発生した爆発火災を取材しようとした中国国営メディア記者が現地警察官に妨害された問題で、現地政府が謝罪声明を発表したと報じた。

2024年3月14日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国河北省で発生した爆発火災を取材しようとした中国国営メディア記者が現地警察官に妨害された問題で、現地政府が謝罪声明を発表したと報じた。

同省三河市燕郊鎮のフライドチキン店で13日午前に爆発火災が発生し、中国中央テレビ(CCTV)の記者が現場の様子を生中継している最中に警察官数人がカメラに映り込み、中継を妨害した。記者はそのまま中継を続けようとしたものの、警察官が「危ないから」と繰り返し、カメラの前に立ちふさがるなどしたため、中継が途中で終了した。また、別のCCTV記者もSNS上に「現場で3人の記者が十数人から取り囲まれもみ合いになった」とする動画を公開した。

この件について中国記者協会も「記者は現場を混乱させるために仕事をしているのではないし、報道は当局の発表文章の代わりでもない。政府は救助活動を実施する傍らで記者の取材に便宜を図るべきだ。世論をコントロールするためにメディア記者の正常な職務履行を粗暴に妨害してはならない」とする異例の声明を発表した。

同市政府は声明を発表し「CCTVをはじめとする複数のメディア記者が、危険を顧みず真っ先に現場に駆けつけ、カメラで現場の様子や救助について伝えてくれ、状況を案じる公衆の気持ちに応えてくれた」と感謝を示すとともに「ガス漏れが起きており、人命を最優先する方針のもとで専門の救援隊以外を現場から離れさせようとしていた。その際に担当者の意思疎通能力が弱く、粗暴なやり方をしてしまったことで記者の皆さんに誤解を与え、世論で疑念が生じることになった」と釈明、すでに記者に対して謝罪を行ったとともに、関係者を厳しく叱責したことを明らかにした。

記事は、中国で記者が取材の妨害を受けることは珍しくないものの、今回は対象が国営メディアの記者だったことから世論の注目を集めたと紹介。現地当局が謝罪するに至ったことについて、ネットユーザーからは「あなたがCCTVの記者で良かったね。違うメディアだったらこうはならなかったはずだよ」と皮肉めいた声も寄せられたと伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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