米Amazon、広告システムの欠陥が問題に。販売規制の州にも広告表示、その掲載料は請求

米Amazonは、カリフォルニア州の顧客に対して、その州で販売が規制されている商品の広告をユーザーに提示し、広告を出した販売業者に高額な広告料を請求したことを認めた。

この販売業者は、バージニア州で従業員80人を雇い、高性能なカスタム・コンピューターを組み立てている。そしてそのコンピューターをAmazonに出品し、販売を促進するためにAmazonの広告システムを利用した。

ところが、この広告システムのジオターゲティングには欠陥があったようだ。このPCは消費電力が高く、カリフォルニア州では販売の規制を受けている。その地域の住民に対しても広告が出されてしまい、業者はせっかく注文が入ったものの、同州への出荷を中止することになってしまった。

しかしそれでも、広告システムはカリフォルニアでの広告表示を続けたという。販売業者は問題を解決しようと努めたにもかかわらず、Amazonの当初の対応は販売業者からの指摘を否定し、高額な広告掲載料を請求しようとしたとのことだ。結局この販売業者はAmazonに広告料を請求されたせいで、3か月分(昨年11月から今年1月)の利益が吹き飛んでしまったという。

Amazonが誤りを認め、この販売業者に対して返金を申し出たのは、メディアの注目を集めた後だったと伝えられている。しかも返金額は1万5000ドルで、業者が失った30万ドルにはほど遠い。

問題を調査したところ、誤った地域への広告表示の影響は「ごく一部」の出品者にしか発生していない、とAmazonは述べている。ただ、同社の広報担当者は「影響を受けた他の出品者にも同様に連絡して返金する」とし、「今後はこのような広告が課金されないように、プロセスを更新している」と述べた。

Amazonの広告システムは、Google広告のように精緻なジオターゲティング広告を出すことができないと指摘されている。また、広告の商品が州の規制を遵守しているかどうか、つまりその州の住民に発送できるかどうかも確認せずにユーザーに広告を表示するため、今回の件は顧客体験の低下にもつながったという。

Bloombergによると、Amazonが広告に関する問題に直面したのはこれが初めてではない。昨年、米連邦取引委員会は同社を反トラスト法違反で提訴した。規制当局が述べた問題点のひとつは、「検索の質を低下させるジャンクな広告を意図的に増やしている」というものだった。しかし、訴訟後に出た報告書では、Amazonが他の企業と契約を結び、自社の商品リストにジャンク広告が含まれないようにすることが可能であることがわかったという。Amazonのアップル製品の販売ページが他に比べてすっきりしているのは、そのためかもしれないとのことだ。

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