新生児が死亡…出産した20代母、実家に遺棄 次に妊娠した子、自宅浴槽で出産…そのまま水中で死亡 母に懲役5年6月、死産を主張していた「父も責任ある」 母が見ると、水中で口を動かしていた新生児「産声も上げられなかった」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 自宅アパート浴槽の水中で出産した新生児を引き上げず、窒息死させたなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた、埼玉県川越市の無職斎藤真悠被告(28)の裁判員裁判の判決公判が14日、さいたま地裁で開かれ、北村和裁判長は新生児への殺人罪が成立するとして、懲役5年6月(求刑・同7年)を言い渡した。

 北村裁判長は判決理由で、解剖医などの証言などから死産と疑わせる所見がなく、検察側の取り調べでも被告が水中で新生児が口を動かしていたのを視認していたなどと話していた点を考慮し、生きた状態で生まれたことが推認されると強調。水中で窒息死する危険性が高いことを分かっていたとして殺意を認定し、「産声も上げられずに小さな命が失われていった結果は重い」と非難。一方で、「1人での出産に至った経緯には子の父親らにも責任がある」と指摘した。

 弁護側は、解剖医が「生きて生まれてきたか死産だったかは不明」と証言したことを引用し、新生児は死産だった可能性があったと主張。水中に放置した行為と死亡との因果関係を否定し、斎藤被告自身が新生児の出生後でも胎盤が排出されるまでは新生児に酸素が供給されると認識していたことなどを挙げ、殺意も否定していた。

 判決によると、斎藤被告は2018年3月ごろ、自身が出産した新生児の遺体をスーツケース内に入れて春日部市内の実家に遺棄。さらに21年8月11日ごろ、川越市内の自宅浴室内で、浴槽に張った湯水の中で新生児を出産し、水中から取り上げることなく窒息死させた上、遺体をリュックサックに入れるなどして自宅のクローゼット内に隠して遺棄した。

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