米FTCと司法省、マクドナルドのソフトクリームマシンなどの“修理する権利”を要求

Image:iFixit/YouTube

米FTC(連邦取引委員会)と司法省反トラスト局は、特定の機器を修理する権利に関する著作権法の適用除外の拡大を求める意見を米著作権局に提出した。その「特定の機器」の中には、マクドナルドのソフトクリーム・マシンが含まれている。

この意見書は、ソフトウェアのコピープロテクト破りを禁じるデジタルミレニアム著作権法(DMCA)第1201条に関する適用除外を追加するかどうかをめぐり、著作権局が審議している最中に提出された。近年のハードウェアには、ソフトウェア・ロックが掛かっていることが多く、自分のデバイスを修理すると著作権違反になってしまう事態も珍しくない。

DMCA第1201条の適用除外は、著作権登録機関の勧告に従って3年ごとに発行される。過去には、スマートフォンの脱獄(メーカーの設定したソフトウェアの制限を解除する)やビデオゲーム機の特定のパーツ修理につき出されたこともある。

FTCと司法省はさらに一歩踏み込み、いわゆる修理する権利を「商用および産業用機器」にまで広げるよう求めている。具体的には4つの例を挙げており、独自の診断キット、プログラマブルロジックコントローラ、企業向けIT機器、業務用ソフトクリーム・マシンである。

その狙いは「交換パーツや修理、保守サービス市場における競争を促進し、修理可能な製品の市場における競争を促進する」ということ。これらの製品につきメーカー以外が修理できないことは、競争を妨げるばかりか、修理コストを高くし、数百ドル~数千ドルの売上損失につながる可能性がある、と述べている。

さらに非営利団体パブリック・ナレッジと修理業者iFixitの調査を引用して「計画外の製造ダウンタイム」の平均推定コストは20万ドル/時間だったと指摘、ソフトクリームマシンの場合、故障は毎日625ドルの売上損失につながるという。

実際、米国内ではマクドナルドのソフトクリーム・マシンが頻繁に壊れるにもかかわらず、店が自ら直したり独立した技術者に頼むことも法律上できず、簡単な修理でも正規かつ高価な修理業者を待たねばならないことは広く知られている。

昨年8月、iFixitは店舗と同じソフトクリーム・マシンを購入して分解。ハードウェア的には簡単な部品で構成されているが、「意味不明で、直感に反し、一見デタラメのように見える」多くのエラーコードを吐き出し、どうすることもできなかったと報告していた

なぜなら技術力がないからではなく、エラーコードを読み取れる装置を作ることさえ法律により禁止されているからだ。実際、エラーを検知してトラブル対応を可能にするKytch社の製品についても、マクドナルドはフランチャイズのオーナーらに使わないよう連絡していた。

もしも米著作権局がFTCや司法省の意見に耳を傾ければ、米国のマクドナルドでソフトクリームにありつける可能性は高まりそうだ。

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