アップル、カナダのAI企業DarwinAIを買収。「iOS上で動く生成AI」実現を後押し

Image:Domenico Fornas/Shutterstock.com

アップルは今年、カナダの小さな生成AI企業DarwinAIを買収した。従業員数数十人のこの会社は、AIシステムをコンパクトかつ高速化する技術を開発している。今回の買収は、iOSにライバル企業がまだ実現していない強力な機能、オンデバイスAIをもたらす可能性が考えられる。

アップルはプライバシー保護を重要視する姿勢を示している。クラウド上ではなくデバイス上で生成AIを実行できるとなれば、今年のWWDCで発表されるiOS 18に関する最も大きなトピックになるだろう。

なおアップルは昨年、スマートデバイス上でLLM(大規模言語モデル)を動作させるための技術に関する論文を発表している。これにDarwinAIの技術を組み合わせれば、iPhone上で生成AI(通称Apple GPT)を実行できるようになる可能性は高まるはずだ。

小規模な会社とはいえ、DarwinAIは2022年末の時点で1500万ドル以上を調達し、インテルやロッキード・マーティン等と協力関係を築くなどの実績を持つ。またDarwinAIの構築に貢献したAI研究者であるアレキサンダー・ウォン氏は、現在はアップルのAI開発グループでディレクターを務めている。

MacRumorsによれば、アップルが現在、AI分野でマイクロソフト(とOpenAI)やGoogleなどに追いつくべく、macOS 15およびiOS 18上でAI機能の構築に取り組んでいる。そして、ChatGPTをはじめとする他社の生成AIに肩を並べるまでになるには、様々なデバイス上でそれを動かせるようにする必要があるという。

アップルのティム・ムックCEOは、2月1日に開いたアナリストや投資家との電話会議で「生成AIに関して社内で多くの作業が進行中だ」とし、「われわれには信じられないほどワクワクしていることがいくつかある。それについては近いうちにお話しできる予定だ」と述べている。

© 株式会社 音元出版