北陸新幹線あす延伸開業も…関西は便利になる? 敦賀駅で乗り換え、料金値上がり 東京シフト加速か

【動画特集】「北陸新幹線」敦賀延伸“期待と懸念” 関西への影響は? 混迷する『新大阪延伸』の壁

北陸新幹線がいよいよ16日、金沢から福井県の敦賀まで延伸開業します。関西にはどのような影響があるのでしょうか。(取材報告:藤枝望音 記者)

いよいよ北陸新幹線が福井県に!金沢~敦賀間の開業を明日に控えー。

福井県民

「東京に近くなるということで、夢がひとつはずむかな」

さらにー。

平和堂旅行センター アル・プラザ敦賀営業所 和家修平 所長

「(予約が)通常よりは5倍から6倍くらい。もうお客さんが殺到しました」

能登半島地震で影響を受けた観光業を支援する「北陸応援割」が開業にあわせて始まるのと相まって、北陸は盛り上がりそうです!

一方、今回の延伸によって、関西ではある影響がー。

(JR大阪駅、午前10時半すぎ)

有吉優海記者

「サンダーバード和倉温泉行きの最終列車がいま大阪駅に入ってきました」

北陸新幹線の延伸に伴い、特急「サンダーバード」の敦賀より北の運行は、15日が最終日に。最後の姿を一目見ようと多くのファンが詰めかけました。

名古屋から来た人

「明日から北陸新幹線(金沢~敦賀間の)デビューなんですけど、それより前に列車に乗ることができて幸せだと思います」

鉄道ファンの小学生

「金沢まで乗り換えなしでいけるところが良かった。悲しいしかありません」

和倉温泉の人からもー。

和倉温泉駅近くの店の人

「寂しいですね。直通だったので、すごく心強かったから。これがなくなると、ちょっと戸惑いはありますけど」

これまで特急「サンダーバード」1本で結ばれていた関西と北陸ですが、16日からは敦賀駅でサンダーバードと新幹線の乗り換えが必要となります。

敦賀駅では1階の特急ホームから3階にある北陸新幹線のホームまで移動しなくてはいけません。混雑していない場合で3分ほどかかりました。大きな荷物を持っての移動は大変なようです…。

大阪駅の利用客

「乗り換えて行くのはどうなのかなと思って。いちいち敦賀でね。大阪にはいつ来るんやろと思って。僕が生きている間に来るのかなと思って…」

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(Q、関西に住む私たちにとっては便利になるのか?)

(JR敦賀駅前の藤枝記者)

それについては2つの視点で考える必要があります。

まずは純粋な利便性についてです。VTRにもあったように、関西から金沢方面へ向かう際には、敦賀駅で乗り換えが発生します。シミュレーションでは3分ちょっとでしたが、一斉に乗り換えるとなるとエスカレーターなどの混雑が予想され、JR側は8分ほどかかるとしています。

そうなると、新幹線の開通で平均20分短縮されることをうたっていますが、乗り換えを含めると実際の時短は10分ちょっとにとどまります。そのうえ料金も大阪と福井の間では3分の短縮で1150円。大阪と金沢の間では22分の短縮で1620円値段が上がります。

(Q、今後、関西と北陸の結びつきはどうなるのか?)

取材を続けていますと、関西と北陸、特に福井については関西との結びつきが強いということでしたが、東京シフトが加速するのではないかという可能性も指摘されています。

北陸新幹線は2015年に金沢まで延伸されましたが、その際に、関西との行き来に乗り換えが必要となった富山県では、新幹線開業直前の2013年度と、開業後で新型コロナの影響が出る前の2019年度とで、人の行き来のデータを比べますと、富山と東京の人の行き来が約1.5倍に増えたのに対し、大阪や京都との間では減少しているという事実もあります。こうした現状は東京一極集中という言葉の裏返しで、関西と北陸の結びつきを弱めかねません。

この状況を打開するためには、敦賀と大阪の間がつながるしかないのですが、着工のめどは立っていません。開業のお祝いムードや「北陸応援割」で盛り上がる一方で、関西には厳しい現実が突きつけられています。

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