急行・快速・各駅停車「どれに乗ればベストなの」 あなたの利用する鉄道の列車種別は便利ですか 

都市圏の鉄道、とくに私鉄では、特急・急行・快速・各駅停車(普通)などと、細かく列車種別が分かれている。読者のみなさまがご利用の私鉄にも、そういったものはある。

ふだん乗る私鉄の列車種別はある程度は把握しているものの、そうではない鉄道に何かあった際に乗る場合の列車種別には、困惑させられることも多い。

もちろん、列車種別により通過駅が多くて遠くまで早く着くか、あるいは多くの駅に停車し遠くに行くまで時間がかかるかは見当がつくものの、どう列車種別が区分されているかを瞬時に把握するのは、案外時間がかかる。

細かく分かれていて、わかりにくいとお考えの人も多いはずだ。

ただ、そうであっても、自身がふだん通勤などで使用する鉄道の列車種別については、一家言おありの方もいるだろう。

本当だったらここに上位の種別が停車してくれれば、と思っている人も多いはずだ。いっぽうで、なんでこの駅に特急や急行が停車するの? と感じる人もいる。

そのあたり、みなさまも気になるのでは?

わが京王線 上位種別が主体の列車ダイヤに

京王線・高尾山口駅

筆者は京王線沿線の東京都調布市内に暮らしている。最寄り駅は、快速と各駅停車しか停車しない。しかも快速は、高尾山口行きの2本だけで、調布駅からは各駅に停車している。

その列車を待つ間に、特急が猛スピードでホームを通過していく。

調布市内で列車運行の中心となる駅は、調布駅だ。この駅には、「京王ライナー」以外の全列車種別が停車する。平日の昼間では、だいたい20分の間に、都心に向かう列車は特急が3本、区間急行が1本、快速が1本、各駅停車が2本といったダイヤパターンになっている。

感心するのが、それぞれがうまく組み合わせられており、上位種別への乗り換えを促進させるようにできていることである。

調布駅では、各駅停車で京王八王子や高尾山口方面、区間急行や快速で橋本方面からやってきた人たちが、特急に乗り換えられるようにダイヤが整備されている。各駅停車から特急の接続は5分程度待たされるが、それは仕方がない。

京王八王子や高尾山口から来る特急は、調布の前に停車する府中で各駅停車と接続している。

このようにして、どの駅でも困らないように、速達型列車と停車駅の多い列車が主要駅で接続できるようになっているのだ。

みなさまの利用する私鉄でも、だいたいそのようになっているのではないか。

複々線を上手に利用する小田急や東武

小田急線

複線で列車種別を上手に使い分ける京王電鉄の場合、ラッシュ時の速達性は犠牲になっている。しかし、速達性と列車種別の多様性を両立できる私鉄もある。小田急電鉄や東武鉄道だ。

小田急電鉄は、代々木上原から登戸までが複々線になっており、通勤時間帯には速達型種別で停車駅を分け、その他の時間帯でも旺盛な遠距離への需要に応えつつ、停車駅の多い種別も走らせている。そんな中でも新宿からはロマンスカーもある。

これゆえ、使いやすくなっているのだ。

小田急ロマンスカー

東武スカイツリーラインでは、急行や準急は押上から東京メトロ半蔵門線直通、普通は北千住から東京メトロ日比谷線直通とし、北千住~浅草間の区間列車を走らせるなどの工夫をしている。さらには浅草発着の特急も走らせている。

複々線がしっかりしていると、列車種別をいろいろと設定したり、ラッシュ時にも速達性が確保されたりと、利便性が増すのだ。

列車種別には法則性がある

東武スカイツリーライン

どの関東圏の私鉄にも、列車種別には原則として法則性がある。郊外の駅から都心の駅に向かうには、途中駅で上位の列車種別に乗りかえると早く着く。

みなさまの利用する私鉄にも、こういった法則性があるはずだ。その法則性について、どう便利なのか、どう使いやすいのか、考えてみてはいかがか。ほかの路線を使用している人とも話し合って、どう違うのかを比較するのもいい。そして上手に鉄道を使いこなしてほしい。(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

© 株式会社ジェイ・キャスト