福原愛さんが元夫・江宏傑さんとの和解を発表、長男はすでに台湾へ… 代理人弁護士「現時点でいかなる争いもない状況」

やせ細った姿からは相当な心労が伺いしれた(3月15日 東京・丸の内/弁護士JP編集部)

長男の親権をめぐって対立していた卓球女子元日本代表の福原愛さんと、元夫の江宏傑(ジャン・ホンジェ)さんが和解したことを受け、15日、双方の代理人弁護士と福原さんが東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。

代理人らは「和解の具体的内容については控える」としながらも、長男を江さんへ引き渡した上で、親権は共同で持ち、今後も親として協力して育てていくと明かした。江さんはすでに長男とともに日本を離れており、記者会見には参加しなかった。

別人のようにやせ細った“愛ちゃん”

記者会見の会場に入室してきた“愛ちゃん”は、痛々しいほどにげっそりとやせていた。冒頭、以下のコメントを述べた後、福原さん本人は開始4分ほどで退出し、弁護士らが会見を続けた。

●福原さんコメント全文

「皆さま、こんにちは福原愛です。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

この度は、私のことで皆さまにご心配やご迷惑をおかけしてしまい、誠に大変申し訳なく思っております。

江さんと和解いたしましたので、この場をお借りして皆さまにご報告をさせていただきます。

これからは、江さんと協力をして、子どもを育てていきたいと思っております。

皆さまにはどうか温かく見守っていただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします」

一方、記者会見に参加しなかった江さんのコメントは代理人弁護士が読み上げた。

●江さんコメント全文

「皆さま、こんにちは。お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。

本件についての詳しい経緯は代理人の先生方に委ねますが、私からは皆さまに心からの感謝をお伝えしたいと思います。

日本の私に関するすべての訴訟において、日本の裁判所が公正で合理的な判断を下してくださったことに感謝しております。

また、ここで記者会見を開かせていただいた後(編注:江さんは昨年7月に日本外国特派員協会で記者会見を行っている)、皆さまからたくさんの応援の声をいただき、それが私にとって本当に大きな励みとなりました。

最後に、日本の裁判所および国民の皆さまに再度感謝を申し上げたいです。本当にありがとうございました」

「面会交流期間」過ぎても長男を戻さず、泥沼化

福原さんと江さんは2016年に結婚し、2017年に長女が、2019年に長男が誕生したが、2021年に離婚を発表した。

離婚後、子どもたちは台湾で江さんと暮らしており、一昨年7月に面会交流として台湾の空港で長男を福原さんに渡したが、福原さんは面会交流期間を過ぎても長男を江さんのもとへ戻さなかった。

福原さんは自身を親権者に指定するよう求める申し立てを行い、江さんも子の引き渡しを求める申し立てを行った結果、昨年7月21日に東京家裁が江さんに子どもを引き渡すよう福原さんに命じる審判を下した。

双方の弁護士によれば、紛争の引き金は、面会交流期間を過ぎても江さんのもとへ長男を戻さなかったこと、そして裁判所から審判が下ったのにもかかわらず、福原さんが依然として長男を引き渡さなかったことにあるという。

その後、福原さんから東京家裁の審判に対する不服申し立て(抗告)、東京高裁における抗告審の審議と却下、抗告却下に対する最高裁への特別抗告、江さんから警視庁への刑事告訴と受理などにより、紛争が長期化。そして、刑事事件の代理人となった弁護士から江さんの代理人弁護士へ和解の申し入れがなされ、「福原さんが長男を江さんに引き渡す」という内容を中心とした和解が成立したという。

なお今回の和解により、台湾において福原さんから申し立てられていた不服申し立ても取り下げられており、現時点でいかなる争いもない状況となっているという。

台湾は「共同親権」が原則

日本では現状、離婚後の共同親権は認められていないが、昨日(14日)の衆議院本会議でその選択を可能にする民法などの改正案が審議入りした。

一方、台湾では共同親権が原則となっているが、「主要扶養者」など父母のどちらにどのような権利があるかは、双方の意見と子どもの最大利益を踏まえて裁判で明確に決められ、当然、それを守らなければ問題になるという。

会見では記者から「現状、日本に共同親権がないことによる本件への影響」についても質問が上がり、代理人弁護士は「(本件は)今後、日本が共同親権を導入するに際して参考になる部分も大きいと思っております」と回答した。

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