「イカゲーム」79歳俳優、強制わいせつで懲役8月・執行猶予2年→控訴へ 被害者はドラマヒットで心に傷 

女性への強制わいせつ容疑で起訴されている、韓国俳優のオ・ヨンス(79)に15日、懲役刑と執行猶予が宣告されたと複数の韓国メディアが報じた。オ・ヨンスは世界的ヒットを記録した、Netflixドラマ『イカゲーム』の「カンブおじいさん」役を演じ、一躍〝時の人〟となった俳優だ。

水原(スウォン)地方裁判所 城南支部刑事6単独(チョン・ヨンジュ裁判官)は15日午後、強制わいせつ容疑で起訴されたオ・ヨンスに対し「被害者の陳述に信ぴょう性が認められる」として、懲役8月、執行猶予2年を宣告、加えて40時間の性的暴力治療プログラムの履修を命じた。

裁判所は「被害者は比較的具体的で、一貫した陳述をしていた。その内容は、経験しなければ表現することのできない程に、生々しいものだった」と説明。また「被害者の日記に記されていた内容、性的暴力相談所に陳述した被害内容などが事件内容と相当部分一致しており、これが被害者の陳述の信ぴょう性を裏付けた」と伝えた。

続けて「被害者は(事件を)忘れようとしたが、『イカゲーム』公開以降、心がつらくなったため被告人へ謝罪を要求したが、被告人の態度に腹が立ち『告訴しようと決心した』という話に、説得力があるとみられた」と明かした。

オ・ヨンスは「罪を犯していないにもかかわらず『イカゲーム』の共演者へ、被害がおよばないか憂慮し謝罪した」と主張。しかし裁判所は「事実関係を訂正していないだけでなく、該当女性とのカカオトーク(個人チャットアプリ)メッセージの中で『娘のようにかわいくて、抱きしめたい思いが行き過ぎた行動になってしまったようだ』と被告人が記した部分は、社会通念上そのような行為をしたという事実を認める趣旨としか感じられない」と断罪した。

しかしオ・ヨンスが初犯であることを量刑に考慮し、裁判所は就職制限と身元情報公開命令は行わなかったと伝えた。

オ・ヨンスは、法廷の外で待っていたマスコミから心境を問われたがそれには答えず、「控訴するつもりか」の問いにのみ「はい」と答えたという。

オ・ヨンスは2017年8月、舞台公演のため大邱(テグ)に滞在していた際、遊歩道を歩いていた劇団員の後輩女性を抱きしめたり、同年9月に女性の住居前で頰にキスしたりするなど、複数回にわたり強制わいせつ行為をした疑いが持たれた。その後、後輩女性が警察に告訴状を提出すると、オ・ヨンソは「該当女性と散歩したり、彼女の住居を訪問したのは事実だが、痴漢した事実はない」と容疑を否定している。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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