警察署で女性が熱中症で死亡 弁護士会が勧告書「苦痛と危険にさらされた」

京都弁護士会館

 京都弁護士会は15日までに、京都府警京丹後署で収容されていた60代女性が熱中症とみられる症状で死亡した事案を受け、京都府警に適切な対応を求める勧告書を送付した。「当時の収容環境は人権侵害に当たる」としている。6日付。

 同弁護士会によると、女性は2022年5月に京丹後署に逮捕、勾留された。勾留中に署内のエアコンが故障し、女性は「暑い」と複数回訴え、一切の食事を拒むようになった。府警は移動式クーラーを設置し、医師の診察を手配するなどしていたが、女性は同6月30日に死亡。死因は熱中症と推定された。

 勧告書では「拘束に伴う制限を超えた身体的な苦痛と危険にさらされていた」とし、収容者の人権を侵害する深刻な事態だと指摘。今後、設備の適切な点検・交換に加えて、有事の際には速やかに他施設に移送することを求めた。

 府警留置管理課の前田昭広次席は「京丹後署では必要な対応を取っていたが、一人の命が失われたという事実を重く受け止め、緊張感を持って業務に当たる」とコメントした。

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