SKY-HI 社長室にSKY-HI社長が殴り込みに行く最新曲「ヒッピー」MVが話題「まずは自分が肩の力を抜いた姿を見せて、ハッピーバイブスを届けたい」

■BE:FIRSTの曲の制作現場で生まれた「ヒッピー」

――― 2月12日にリリースされたデジタルシングル「ヒッピー」について、この曲が生まれたきっかけや制作時のエピソードがございましたら是非教えてください。

SKY-HI:ツアーのテーマソングを作らなきゃということで、もともとはこんなに明るいものにするつもりはなかったんですけど、スタッフから「たまには明るいものを作ってもいいのでは?」という提言があり作りました。

当時ちょうどBE:FIRSTの曲の制作でスタジオに入っていて、これまでもたまにやってきたんですけど制作の時間があまったので「もう一曲おまけに作ろう!」みたいな展開になって。そのタイミングで「ちょうどツアーのテーマソングを作らないとなんだよ」って、その場にいた人間とその場にあった楽器で作っていきました。

―――なるほど、それでRyosuke “Dr.R” Sakaiさん、中村泰輔さん、Carlo Redl さんといった多くのお名前が連ねてあるんですね?

SKY-HI:そうなんです。自分の作品の中では珍しい多さのコライトだと思います。なので、曲自体は約1時間ちょっとくらいで完成しまして、「リリックどうしよう?」っていうのはまた時間を別に設けて作っていきました。

■MVでは自前のスーツ姿も

―――「ヒッピー」のMVではSKY-HIさんのスーツ姿も印象的でした。スーツを着替え社長室に飛び込んでいく様子にはストレスを代弁してくれるような痛快さもありますね?

SKY-HI:「楽しくぶち壊す」というのはテーマとしてあったと思いますね。会社が象徴的な場所かなと思ったので、極力普遍的な、コンサバティブな会社のオフィスのイメージで。会社やスーツをうまく利用して、全体を記号的なものにしたかったので会社員たちは表情が見えないような演出にしたりしました。

―――ちなみにこの衣装のスーツは自前だったそうですね?

SKY-HI:そうです。当たり前なんですけど、自分に合わせてちゃんと作っているからぴったりなので。(笑)似合うスーツを採用した感じです。

―――今日の衣装はまさにMVのときに着ていらっしゃったスーツからガラリと着替えたセットアップですね?

SKY-HI:はい。全体にタフティングしたラグを貼っちゃいました。ツアー名の「HPY」とか入っていますね。フードには名前も入っています。いつも衣装などをお願いする会社に「楽しいやつにしたいな!」と言ったらこうなっちゃいました。

―――MVに寄せられたコメントには「社長室に本当の社長が行くのがおもしろい」という声もありましたね。

SKY-HI:確かに、僕が行くとそうなりますね(笑)あの会社を一般的な社会の象徴とした場合に、ボスやドンに対してはあんな感じで「殴り込みに」というと言葉が強いですが「参画しに」行ったところはあると思います。結局我々のようなベンチャーがやるべきことって、大きい組織がやりきれないスクラップ&ビルドの部分とか、根本の構造改革だったりすると思うので、実際あんな感じで僕自身も世の中に参入していったところはありますね。

―――リアルに社長としてのイメージも込められていたんですね。そして確かにMVでは暴力的な要素が感じられないソフトな「殴り込み」感が伝わりました。

SKY-HI:まさにそうしたかったんです。近頃はストレスにストレスをぶつけている様子をよく見るので。SNSとかもストレスに対してストレスをぶつける形が今一番人の関心が向きやすかったりすると思うんですけど、でもそれがまた新しいストレスを生んでいるわけじゃないですか。

負のスパイラルになってしまうのがすごく嫌で。実際社会のひずみがあるからああいう人たちが生まれちゃったんだと思うんですけど、例え自分の目に映らなくてもそういうひずみがあるのは間違いないと思うので、じゃあそれを何か訴えようとか何かしら変えようとしたときに、あまり肩に力が入った形でやりたくないなと。

意識的に肩の力を抜きたくて。なかなか難しいかもですが、せめて肩の力を抜いているように見せたいという思いが常々あって、MVではそれをイメージ化することが出来たのではないかと思います。

―――タイトルの「ヒッピー」ですが、辞書的な意味である「1960年代のアメリカで始まり、世界に広まったカウンターカルチャーの一つで、自然への回帰を主張し、伝統や制度、道徳観や生活様式に反抗し、自由な生活を求めた人々のこと」を想像してしまいますが、このタイトルにはSKY-HIさんの考える現代社会においての令和の「ヒッピー」像を表していらっしゃるのでしょうか?

SKY-HI:令和のヒッピー像とまでは言わないんですけど、正確なタイトルを言うとしたら「ヒッピー的なバイブスを持って生きたほうが今は幸せだよね」になる気がします。現代の人たちの疲れ方がヒッピー的な価値観の真逆なところにあるんじゃないかなって。

社会全体がストレスを感じる先が内向的になっているのもそうですし。ここ20年くらい「暗いニュースが多いな」と思っているんですけど、そういう暗いニュースに対するリアクションがもっと暗いみたいな。

すごくうっそうとした空気みたいなものは歯止めが効かないだろうなという気がしますね。「そういうのってヒッピーバイブスが必要だよな」って思いました。すごくミニマルな意味で。

■ツアーでは今までに観たことないSKY-HIに会える!

―――そして5月から始まるSKY-HI TOUR 2024 -HPY LIFE-は、5月4日に宮城・仙台サンプラザホールでスタートし、6月16日に行われるご自身の出身地の千葉・市川市文化会館大ホール公演まで全国10会場11公演が開催されるそうですが、どんなところを期待していて欲しいかなど是非ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

SKY-HI:ホールを回るのが久しぶりなので楽しみにしているんです。みなさんが気合いを入れないで観に行けるものにしたいなと思っているので、そう観てもらえるよう頑張りたいですね。力を抜くために頑張る。みたいな(笑)

観に来てくださる方の不安に対する心の持ちようが少し軽くなるというものを作るために「まず自分がそうならないといけないな」という感じはありますね。

そのためには今は80%くらいの力で生きることをやってみたいなと思っていて。0%か100%みたいに緩急つける生き方は人生にハリがあって楽しいんですけど、80%ぐらいで生きるのも楽しそうだなって。60%くらいまで落として80%くらいに戻すとかも一回試してみたいと思っているんです。まだ出来てないんですけど。

今回、喜怒哀楽の「楽」の部分を大事にしたいので、しっかりそれをやろうと思いますので楽しみにしてきて欲しいですね。今までに観たことないような肩に力が入っていない僕が観れます。とか言っててもいざやるとバッチバチかもしれませんけど(笑)

【SKY-HI PROFILE】
2005年AAAのメンバーとしてデビューし、同時期からソロ名義「SKY-HI」として都内クラブ等でマイクを握り活動をスタート。圧倒的なRAPスキルのみならず、卓越したボーカル&ダンス&トラックメイキングスキルを武器にエンターテインメント性あふれるコンテンツをセルフプロデュースで創り上げる。2013年にメジャーデビューし、これまでに6枚のオリジナルアルバムをリリース。その高い作品性がHIP HOPシーンのみならずジャンルの垣根を超えて高い評価を得ている。2020年には、マネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げ代表取締役CEOに就任。同年ボーイズグループオーディション「THE FIRST」を主催し、翌年には自身がプロデュースを手掛けるボーイズグループBE:FIRSTを輩出した。

写真:©entax

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