JR木次線を中心に走り、1974年に引退した蒸気機関車「C56―108」が14日、雲南市木次町新市の木次体育館横で久しぶりに姿を現した。雪による腐食を防ぐため、昨年12月から機関車全体を覆っていたシートが外され、真っ黒で重厚感のある車体が地域の歴史を伝えている。
機関車は37年製で高さ約4メートル、長さ約14メートル。木次線が全線開通した37年に走り始め、64年の加茂町大水害時には宍道駅から加茂中駅まで救援物資を運び、人々の生活を支えたという。役目を終えて現在の場所に移された。
通勤通学で機関車を利用した住民や、鉄道愛好家ら約230人でつくる保存会が保存・継承活動を続けている。この日は会員12人がシートを外し、さび止めの油を全体に塗った。
保存会の堀江晴俊会長(68)は「木次線の歴史を全て知っている機関車だ。本物に触れてほしい」と話した。