深浦駅 90年の有人営業に幕 町職員、最後の駅員に花束

有人駅としての営業終了後に、駅員(左側)に感謝を伝える花束を渡す町職員=15日午後4時50分ごろ、深浦駅
有人駅としての営業終了後に、花束を手に記念写真に納まる駅員と町職員ら=15日午後4時50分ごろ、深浦駅

 青森県深浦町のJR五能線深浦駅が16日のダイヤ改正から駅員不在の無人駅となる。約90年の有人駅としての歴史に幕を下ろした15日夕、町職員が「最後の駅員」たちに感謝を伝える花束を手渡し、労をねぎらった。

 町などによると、同駅は1934(昭和9)年12月13日開業。かつては貨物の取り扱いもあり、荷さばきのために多くの人が駅前に集まり、商店街が形成され町のにぎわいの中心となったが、近年は利用客が減少。2022年度の1日平均乗車人員は29人だった。

 15日は午後4時45分に有人駅としての最後の営業を終えた後、町職員が駅舎内で駅員ら3人に花束を手渡し、感謝を伝えた。町観光課の鈴木治朗課長補佐はあいさつで「約90年間、深浦駅を運営し、地域の方や観光客を案内してくれたたくさんの歴代の駅員に感謝の気持ちを伝えたい」と述べた。

 最後の駅員となったのはJRグループ会社の社員2人。須藤雅昭さん(62)は「7年勤務した。雨や風で運休した時の代行輸送の手配は大変だったが、皆さんに愛された駅だったことが分かってうれしい」、石岡学さん(69)は「70歳まで働くつもり。できれば最後までここで勤務したかった。地域に愛された駅だった」と感慨深げだった。

 無人化に伴い、観光列車リゾートしらかみの停車駅でもある同駅トイレの維持管理や費用負担が検討課題となっていたが、定例町議会最終日の15日、清掃業務委託料115万円を盛った2024年度町一般会計当初予算案が可決された。

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