斬新「オブジェ焼」入場者見入る 岡山、「走泥社再考」展会期中盤

「オブジェ焼」の多彩な造形を楽しむ入場者

 岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で開催中の特別展「走泥社(そうでいしゃ)再考―前衛陶芸が生まれた時代」(山陽新聞社など主催)は会期中盤。戦後の陶芸界を半世紀にわたりけん引した陶芸家集団の意欲作がそろい、15日も入場者が伝統の実用性にとらわれない斬新な作品に見入っていた。

 走泥社は1948年、京都の陶芸家5人が結成。「オブジェ焼」という新たなジャンルを世に認知させたことで知られる。会場には走泥社の同人を軸に、同時代に前衛陶芸を手がけた四耕会、日本陶芸に影響を与えたピカソ、イサム・ノグチらの作品も加えた約180点を展覧する。

 緑川宏樹の「くすぶる」は、陶製の紙飛行機が七輪にくべられて散乱し、シュールな空間を構成。白化粧の表面と装飾的な絵付けが軽やかな八木一夫の「二口壺(つぼ)」、立方体の全面から波模様が浮き立つ宮永理吉の「海」なども目を引く。

 学校の研修で立ち寄った倉敷市立北中の生徒(13)は「陶芸と聞くと壺や皿のイメージだったけど、こんなにいろんな表現があると知って驚いた」と話した。

 4月7日まで。月曜休館。20日午後2時から、大長智広・京都国立近代美術館主任研究員による記念講演会がある。

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