タマディック 森實社長に聞く 豊田に新事業所建設へ 自動車関連拡大に対応 木質デザイン、サウナも導入

事業戦略を語る森實社長

 自動車や航空・宇宙分野の設計などを手掛けるエンジニアリング会社のタマディック(実質本社名古屋市)は、豊田市内に新事業所を建設する。近く着工し、2025年夏頃にも開所する計画。豊田市に分散している拠点を新事業所に移管し、自動車関連事業の拡大に伴う人員増などに対応する。木質調の特徴あるデザインにするほか、サウナも導入。従業員が働きやすい職場づくりを進めると同時に、採用強化にもつなげる考えだ。

 森實敏彦社長が中部経済新聞社の取材で明らかにした。新事業所は、車体設計や部品設計、設備設計などを担う自動車事業部のエンジニアが勤務する設計棟や、試作づくりが行えるラボ棟、研修センターなどで構成する。従業員のコミュニケーションを促すためのフィンランド式サウナも導入する予定だ。
 豊田市には現在、自動車事業部の拠点が複数あるが分散しているため、新事業所に移管する。連携を強化し、能力を最大限発揮できる環境を整備する。自動車事業部の部隊は約250人。森實社長は「自動車産業は、(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化を指す)CASEなど変革の中にあり、関連事業で求められる技術者の数も今後、増えていく。向こう10年間をみれば、倍増くらいの規模に拡大したい」と話し、人員増を計画する。
 タマディックは21年にも、名古屋市内に新社屋を完成。木造建築を得意とする世界的な建築家、坂茂氏が設計を手掛け、最上階の8階には、全国的にも珍しいオフィス内のフィンランド式サウナを導入した。
 森實社長は「豊田市の新事業所は名古屋と比べてかなり大きな敷地面積になる。公園のようなスペースを整備し、(草木の)緑を眺めながら働ける環境にしたい」として、従業員の働きやすい職場づくりを進める。サウナの活用と合わせて「従業員のウェルビーイング(身体的にも精神的にも、社会的にも満たされている状態)を重視する」と語り、生き生きと働ける職場づくりを通じて企業の競争力を高め、採用強化も目指す。
 タマディックの売上高は、2023年3月期実績で約150億円。24年3月期は15%程度増える見込みで、過去最高を更新する予想だ。

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