中国の若者の間でクレジットカード離れ、経済低迷で使い過ぎ気にして財布のひも固く?

中国の若者の間でクレジットカード離れが話題になっている。使い過ぎを気にしているためとみられ、経済の低迷に伴い、消費者の財布のひもが一段と固くなっていることをうかがわせた。写真はクレジットカード。

中国の若者の間でクレジットカード離れが話題になっている、と中国メディアが伝えた。最近の調査によると、クレジットカードを持っているのは半数以下。ついつい使い過ぎることを気にしているためとみられ、経済の低迷に伴い、消費者の財布のひもが一段と固くなっていることをうかがわせた。

中国の代表的なクレジットカードは「銀聯カード」。中国の銀行では異なる銀行や都市ではお金のやりとりができず、利用者にとっては使いづらかった。そこで、各銀行共通のネットワークを作るために中国政府主導で中国人民銀行(中央銀行)が中心となって「中国銀聯」という決済ネットワーク運営会社を設立。2002年に銀聯カードの提供が開始された。

中国の最高額紙幣は100元(約2100円)で、現金で高額な買い物をする場合、多くの紙幣を持ち歩かなければならず、紛失や盗難のリスクがあった。

さらに偽札が出回ることが珍しくない状況だったため、安全かつスムーズに利用できるカードの需要が高かったことが挙げられ、銀聯カードの登場で中国では一気にキャッシュレス化が進んだ。VisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドと次々に提携し国外でも名が知られるようになり、全世界での発行枚数は80億枚を超える。

銀聯カードは日本では05年にサービスが開始された。中国からのインバウンド需要の波に乗り、空港の免税店や百貨店のほか、家電量販店などを中心に加盟店は広がり続けている。

中国通信社が紹介した工人日報の記事によると、中国の短文投稿サイトの微博(ウェイボー)で実施されたクレジットカードの保有枚数調査では有効回答3355人中1267人が「クレジットカードを持っていない」と回答した。

広西チワン族自治区南寧市で働く陳陳さんは、「クレジットカードを使わなくなってから、生活が楽になったと感じています」と語る。

陳さんは23年6月から、信用枠まで使えるクレジットカードから口座残高以上使えないデビットカードでの支払いに切り替えた。クレジットカードを持っていると、余裕があると錯覚し、ついつい収入以上に使いすぎてしまうからだという。

中国決済清算協会によると、23年第3四半期にクレジットカード発行枚数は年初と比べて2000万枚近く減少し、4四半期連続で減少した。一部の上場銀行が開示している決算報告などでもクレジットカード決済額は減少している。

一方、オンライン・クレジットカード申請プラットフォーム「融360」の担当者は「クレジットカード発行枚数は減少しているが、市場の消費活力が弱まったわけではない」と説明。銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)が深化するにつれ、クレジットカードの発行規模を追求するのをやめ、サービスの質や顧客満足度の向上に努めるようになったからだとしている。(編集/日向)

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