やりたいことが、いつも"中途半端"に終わっちゃうあなたに。専門家の《秘訣》を紹介します。

「今年は、こんな1年にしよう!」――東京バーゲンマニアの読者の皆さんにも、お正月、そんな目標を立てた人も多いと思います。しかし、ではその後、達成に向けて動けていますか? 「......実は、まだ何も」という人が、残念ながら多数派かもしれません。

というのも、人間はもともと「怠け者」だから。新年に立てた目標を年末まで覚えている人は1割にも満たなかった、という研究結果もあるそうです。

そんな私たちが、せっかく見つけた目標や夢のために動き、動き続ける秘訣を教えてくれる1冊があります。タイムコーディネーター・吉武麻子さんの『目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)です。

現実の一歩に落とし込む

なりたい自分をどれほど熱心に思い描いても、何もしない限り、何も変わらない。わかっていても、最初の一歩が踏み出せない。踏み出せたとしても、途中でやめてしまう......。

そんなふうに中途半端に終わってしまうのは、「やりたいことという漠然としたものを現実の一歩に落とし込む」ことをしていなかったからかもしれません。

ビジョンから長期目標へ、長期目標から短期目標へ、短期目標から今日やることへ。この棚卸しが夢を叶える肝と言えます。つまりは、分解時間術です。

目標・計画・行動をチェック

ここで、目標を達成するために必要な3つの要素を押さえておきましょう。

1つ目は「達成したくて仕方がない目標」。

あなたの目標は、本当に心からやりたいことでしょうか。周囲との比較で満足を得られるもの(所得、地位、名誉)は、次から次へと追い求めることになるので疲れてしまいます。「何を大事に生きていきたいのか?」の答えにつながる目標になっているか、チェックしてみましょう。

2つ目は「実行可能な計画」。

やる気満々の時に立てた計画は、絵に描いた餅で終わってしまうことも。そこで、短期的視点(予定通りに進められるか)、中期的視点(行動し続けられるか)、長期的視点(後悔しない人生につながるか)から、計画をチェックしていきます。人生のビジョンから長期目標→中期目標→短期目標→目の前の目標まで、すべてがつながっていることがポイントです。

3つ目は「未来を変える今すぐの行動」。

自転車を漕ぐ時と同じで、行動も最初の一歩が一番パワーを使います。その最初の一歩を小さくすることで、軽やかに動き始められるようになります。著者の吉武さんは、本書の「執筆」という大きな行動を「前日までに、明日の朝、書き始める1文をノートにメモしておく」などの小さな行動にしたことで、タイピングが進んでいったそうです。

「大」→「小」の「分解」がカギ

目標、時間、タスクを分解して自分が行動しやすいようにすることが、目標達成に向けて動き続けるカギになります。

はじめに、「どう生きたいのか?」「後悔しない人生とは?」「大事にしている価値観は?」を言葉にします。続いて、これらの「ビジョン」(価値観)から「1年目標」(得たい結果)を書き出します。

そして「1年目標」→「3カ月目標」→「1カ月目標」→「1週間・1日目標」というように、「大」から「小」へ分解していきます。

たとえば1年目標が「資格試験合格」の場合、次のように分解していきます。

1 3カ月後、何を達成していたいか? → 試験範囲を一通り勉強した状態になる

2 成果として何を得たいか? → 問題集を2回繰り返す(300問×2回)

3 達成するための具体的な方法 → 平日1日あたり5問解く(目安1時間) など

4 ゴールから逆算してマイルストーン(中間目標地点)を置く → 1カ月200問解いている

5 タスクを細分化する → 平日5時に起きる、1時間早く家を出てカフェで5問解く など

「今年こそは○○○!」という目標の立て方をしがちですが、長期目標には「1年でできることを過大評価しすぎる」「後回しにしてしまう」などのワナが潜んでいるそうです。目標や夢というふわっとした塊を分解していくことで、今、何をしたらいいのかがはっきりします。この「分解術」について、本書ではくわしく紹介されています。

「いつかこうなったらいいな」と思い描くばかりで、時間はあっという間に年単位で過ぎていきますよね......。漠然とした思いを具体的な行動に置き換えることで、目標や夢が現実味を帯びてぐっと近づいた感じがするはずです。

個人的には、目標や夢は頭の片隅になんとなくあるものでしたが、本書を読んで、何年も前からやりたかったことの最初の一歩を踏み出しました。著者や例として登場する人々の本気度の高さに感化されたからかもしれません。「目標」とか「夢」とかぼんやりと思っているうちは、ただ夢を見ているだけ。目を覚まして、実際に動きたくなる1冊です。

■目次

第1章 目標達成は計画が8割

第2章 1年目標の分解計画術(1年目標→3カ月目標)

第3章 1カ月目標に分解する (3カ月目標→1カ月目標)

第4章 1週間・1日の目標に分解する(1カ月目標→1週間・1日目標)

第5章 計画が思うように進んでいないときは

第6章 計画を振り返る

第7章 目標達成に効果的な手帳の使い方

■吉武麻子さんプロフィール
よしたけ・あさこ/TIME COORDINATE(株)代表取締役、タイムコーディネーター。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ3000名以上に指南。心地よい時間の使い方で、ありたい未来をつかみにいくための「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。また、シリーズ100万部発行の『時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本』(朝日新聞出版)の監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。プライベートでは2児の母。

画像提供:かんき出版

「もっと気楽に生きていいんだ」南沢奈央さんを救った"居場所"とは

プリキュア生誕20周年!ポップアップストア「precure genic room」がオープン。シリーズ生みの親・鷲尾天さんが語る、ファンに伝えたい思い。《前編》

2024年の本屋大賞、ノミネート作が発表されてます。あなたの気になる作品は?《大賞は4月10日発表》

© 株式会社ジェイ・キャスト