【選抜高校野球】被災地の「希望」星稜と日本航空石川は県勢初の4強入りなるか

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昨秋13連勝で明治神宮大会優勝の星稜

第96回選抜高校野球大会は18日に開幕する。今大会の注目ポイントのひとつが、元日に起きた能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県勢。2年連続16回目の出場となった星稜と4年ぶり3回目の日本航空石川の選手たちは、これまで以上に地元への思いを強くしているだろう。

星稜は昨秋の明治神宮大会で優勝。秋の公式戦は石川大会、北信越大会、明治神宮大会で無傷の13連勝をマークしており、今春センバツでも優勝候補の一角に挙げられている。狙うは1983・84年の岩倉、1997・98の横浜、2001・02の報徳学園、2021・22の大阪桐蔭の4校しか達成していない「秋春連覇」だ。

1年夏、2年夏の甲子園を経験している左腕・佐宗翼はキレのいいスライダーが武器。昨秋公式戦では50イニングで49三振を奪っており、大崩れしない実戦派と言える。

1学年下の右腕・道本想は、昨秋公式戦13試合中9試合に先発。佐宗がリリーフに回ることも多く、今春センバツでも継投がひとつのカギになりそうだ。

打線も切れ目がなく、チーム打率は出場32校中18位の.320。投打のバランスが取れており、大会初日の第2試合で対戦する21世紀枠の田辺(和歌山)に勝てば波に乗る可能性は十分にあるだろう。

日本航空石川は大トリで常総学院と対戦

星稜が明治神宮大会で優勝したため付与された「神宮大会枠」で北信越3校目に選ばれたのが日本航空石川。輪島市にあるため地震の被害が大きく、野球部の選手たちは山梨県にある系列校の日本航空高校で練習を積んできた。

昨秋石川大会は決勝で延長11回タイブレークの末、星稜に敗れ、北信越大会でも準決勝で延長10回タイブレークの末、敦賀気比(福井)に敗退。あと一歩及ばなかったが、実力的に大きな差はないだろう。

チーム打率.309は32校中22位、防御率2.09は同19位。大型左腕・猶明光絆は注目度が高いが、チーム力、総合力が問われるだろう。しんがりの登場となる第6日第1試合の常総学院(茨城)戦がまずは最初の関門だ。

夏は準優勝、センバツはベスト8が最高の石川県勢

昨秋の星稜は32年ぶりに明治神宮大会を制したが、甲子園で石川県勢の優勝はない。1995年と2019年の夏の選手権で星稜の準優勝が最高成績となっている。センバツに限ればベスト8が最高で、ベスト4にすら入っていない。

しかし、2018年の第90回大会では星稜と日本航空石川がアベック出場し、ともにベスト8入りしたこともある。準々決勝で星稜は三重に、日本航空石川は東海大相模に敗れた。優勝は根尾昂、藤原恭大らを擁して「最強世代」と呼ばれた大阪桐蔭だった。

阪神大震災が起きた1995年センバツでは、被災地の兵庫県から神港学園、育英、報徳学園の3校が出場し、神港学園が準々決勝に進出。東日本大震災が起きた2011年は、応援団の移動が困難な光星学院(青森)、東北(宮城)、水城(茨城)、大館鳳鳴(秋田)の4校に、兵庫県内の17校が「友情応援」のため甲子園に駆けつけた。

今回、石川県から出場する2校にも、被災地はもちろん、全国のファンが健闘を祈っているはず。両校ナインには、夢舞台で野球をできる喜びを存分に感じながら悔いのないプレーで完全燃焼することを切に願う。



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