宇野昌磨、フィギュア世界選手権3連覇へ「4回転の神」マリニンらといざ決戦

Ⓒゲッティイメージズ

カナダで3月18日開幕、4回転と表現力の完成度で勝負

フィギュアスケートの世界選手権は3月18日からカナダのモントリオールで開幕する。

冬季五輪2大会連続メダリストで26歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)が日本勢初となる3連覇を懸け、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を武器に「4回転の神」と呼ばれるグランプリ(GP)ファイナル覇者のイリア・マリニン(米国)、右足首の負傷から復調して2月の四大陸選手権を制した鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)らと対決する。激戦必至のハイレベルな争いになりそうだ。

19歳のマリニンは1月の全米選手権でクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に成功して2連覇。国際オリンピック委員会(IOC)のインタビューで「彼の努力を見ることは、本当にいい刺激になる」と宇野の存在に触発されている心境を明かしており、宇野自身も「マリニン対策」で今季のテーマである「表現力」だけでなく、4回転ジャンプの精度や完成度の高さで勝負する構えだ。

1月のビッグスポーツ特別賞の挨拶ではパリ五輪の代表選手に「多くの積み重ねた練習を信じて自分の力が発揮できれば」とエールを送った上で、自身の世界選手権についても「今年3月、昨年同様、良い成績がさらに残せるよう、皆さんの期待に少しでも応えられるよう全力を尽くしたい」と意気込みを語った。

2年前は最高難度のフリーで初V、前回は初の2連覇

2年前の世界選手権(フランス・モンペリエ)はショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位の202.85点をマークし、当時世界歴代3位の合計312.48点で初優勝。4種類計5度も4回転ジャンプを跳ぶ自身「最高難度」のフリー「ボレロ」を闘志むき出しで攻めて300点超えを達成し、どん底の状態から救ってくれたコーチの元世界王者ステファン・ランビエル氏に恩返しの滑りで観客を魅了した。

鍵山優真が297.60点で2年連続の2位、ビンセント・ゾウ(米国)が3位だった。

前回の世界選手権は2023年3月にさいたま市のさいたまスーパーアリーナで行われ、地元日本開催での熱狂の中、王座を守った。ショートプログラム(SP)首位に立った宇野昌磨はフリーでも1位の196.51点で合計301.14点をマークし、同種目で日本初の2連覇を達成。

大会直前に右足首を痛めるアクシデントを乗り越え、フリーでは序盤の4回転ループとフリップを鮮やかに決めると、技術と表現の総合力で貫禄の滑りを見せつけた。車俊煥(韓国)が2位、急成長するイリア・マリニンは3位だった。

今季は全日本2連覇、GPファイナルはマリニンに敗れて2位

今季は2023年12月の全日本選手権(長野市ビッグハット)で合計298.04点をマークして2連覇を達成し、本田武史と羽生結弦に並ぶ男子歴代2位の通算6度目なる頂点に立った。

一方、全日本選手権の直前にあったグランプリ(GP)ファイナル(北京)ではSP、フリーともに2位の合計297.34点で2位。19歳のイリア・マリニン(米国)がSP、フリーともに1位となり、世界歴代3位の314.66点で初の頂点に立っている。

2023年11月のGPシリーズ最終第6戦、NHK杯は鍵山優真が優勝し、宇野は1.84点差で2位だった。

今季の集大成となる世界選手権は世界王者として次世代のホープたちに立ち向かう。ステファン・ランビエル・コーチとともに、磨きを掛けてきた「表現力」だけでなく、勝負のカギとなる4回転ジャンプの精度をどこまで仕上げていけるか。世界の頂上決戦へカウントダウンは始まっている。



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