SixTONES、デビュー前の楽曲が今もなお愛される理由は? 結成時から続く音楽への真摯な姿勢

SixTONESがグループ結成日である5月1日に12thシングル『音色』をリリースすることを発表した。

新曲「音色」は京本大我が主演を務めるドラマ『お迎え渋谷くん』(フジテレビ系)の主題歌に決定しており、京本が自身のX(旧Twitter)にてライブ公演中に発表したことでも話題を集めた。

またシングル情報が明らかになると、カップリング曲としてSixTONESがデビュー前から歌ってきたオリジナル曲「BE CRAZY」、「Hysteria」の2曲がアレンジバージョンで収録されることも大きく注目を集めている。

「BE CRAZY」は2015年上演のミュージカル『少年たち 世界の夢が…戦争を知らない子供達』、「Hysteria」は2018年上演のミュージカル『少年たち そして、それから…』で発表された、SixTONESのジュニア時代のオリジナル曲。いわゆる男性アイドルグループらしいハッピーでポップな世界観ではなく、当時からSixTONESのスタイルを象徴するような洗練されたテイストが特徴だ。

「BE CRAZY」はイントロから肩を組むなど6人の“絆”を象徴するようなはじまりで、歌詞に込められているとおり、力強いメッセージ性を含んだ楽曲だ。一方の「Hysteria」は、歌詞のほとんどが英語で綴られており、当時のSixTONESとしては珍しさもあった。恋愛をテーマに静かでありながらも熱い思いを秘めた大人っぽい世界観で、神秘的かつクールなサウンドが楽曲を包みこむ。この楽曲は後輩にも受け継がれており、昨年行われたジュニア総勢200人が出演したドーム公演『わっしょいCAMP! in Dome』でも披露された。デビュー前の楽曲であるにもかかわらず、数多ある楽曲の中から選曲されたことからもその人気ぶりが窺える。ブルーやパープルなどの照明とスモークによるミステリアスな雰囲気に、那須雄登(美 少年)、大西風雅(Lil かんさい)らシャッフルメンバーが一段と色っぽく映り、楽曲によって大人の魅力が引き出された印象だ。

もちろん、本家SixTONESはいうまでもなく、「BE CRAZY」ではワイルドな力強さを、対照的に「Hysteria」では繊細で妖艶な歌声を響かせるなど、デビュー前から楽曲の世界観に負けることなく歌い上げ、自分たちの多面性さが表れていた。グループの結成は2015年だが、それ以前から各々がキャリアを重ねきたことが表現の深みとなって活かされていた。2曲の楽曲にSixTONESの軌跡と思い出が重なりつつも、いまなお色褪せることなく瑞々しさを保ったまま愛されている。

この2曲は、発表から5年以上の時が経過しようとしている。当時のパフォーマンス映像を観れば初々しさや懐かしさを覚えるが、まだデビュー前の彼らがそれぞれの楽曲の世界観を創り、歌い上げる歌唱力やパフォーマンス力には改めて驚かされる。

楽曲の持つ洗練さもさることながら、メンバーが様々な仕事を通して歌唱力や表現力が高まりつづけるいま、どんなアレンジと歌声が収録されるのか。SixTONESの音楽を聴いていく中で、こうしたアレンジ曲をはじめやコラボレーションを聴かせてくれるのも楽しみのひとつであり、彼らの作品の特徴と言えそうだ。音楽を愛するSixTONESならではの取り組みに注目したい。

(文=柚月裕実)

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