レンジで温めるだけで炊き立てのようなご飯が食べられる「パックご飯」の需要が、年々高まっています。10年間で約2倍に売り上げが増えたという会社も。
米の消費量は約60年間、減少傾向にあるにも関わらず、一体なぜ人気なのでしょうか?
鳥取県米子市内のスーパー。
小崎純佳 キャスター
「ありました、こちらがレンジご飯、パックご飯のコーナーです。こうやってみると、たくさん種類があります」
レンジで温めるだけで、ほかほかのご飯が食べられる「パックご飯」。
こちらのスーパーには、約40種類のパックご飯が販売されています。
マルイ車尾店 岸努 販売マネージャー
「以前は備蓄目的で、震災関連でお買い求めになっている方が多かったんですが、いまは関係なく、年中、日常的に使われるということでお買い求めになる傾向があります」
そのため、店では、レトルト食品や惣菜売り場の近くにパックご飯を陳列するなど売り方にも工夫しています。
客
「年寄り2人だから、量は少なくて良いから、炊いたご飯が無かった場合に使います」
長期保存がきいて手間いらずなど、何かと便利なパックご飯ですが、近年、需要が伸びているんです。
「パックごはん」大手のサトウ食品によりますと、「サトウのごはん」の売上高は、1988年の販売開始から右肩上がりで伸びていて、2023年4月期の売上高は235億7000万円と、過去最高を記録。
パックごはんの売上高は、この10年間で約2倍に増えているといいます。
一方、米の消費量は、減少傾向にあります。
農林水産省によりますと、米の1人当たりの年間消費量は、ピーク時の1962年度は118キログラムでしたが、2022年度の消費量は、半分以下の51キログラムにまで減少しています。
米そのものの消費量は減っている一方で、パックごはんが躍進を続けているのは、なぜなのでしょうか。
サトウ食品 経営企画部 浅川梨乃さん
「消費者の暮らし方の変化、食事のスタイルがそれに伴って変化して、最近よく聞かれるのが、タイムパフォーマンスです。タイパ思考に向けたニーズが高まっていること、そのニーズに合わせて、『サトウのごはん』はストックおよび電子レンジで簡単に調理して食べることができるので、そこにマッチしたのだと思っております」
働き方の変化などに加え、タイムパフォーマンスを重視する現代人の需要にマッチしていると考えられるといいます。
また、近年では、コロナ禍の巣ごもり需要なども後押しになったと考えられています。
そして、もちろん、パックごはんの製造にもこだわりが…
サトウ食品 経営企画部 浅川梨乃さん
「当社が採用しているのが、昔ながらの火加減を再現した『厚釜ガス直火炊き』というのを採用していまして、一食一食釜に入れて、お米と水だけで炊き上げています」
一方、パックご飯の種類も多様化しているんです。
マルイ車尾店 岸努 販売マネージャー
「以前はコシヒカリが、多かったんですが、今は『つや姫』や『ゆめぴりか』、この辺りでしたら、鳥取県産の『星空米』という、銘柄米のレトルトパックご飯が増えてきています」
そのほか、カレーに合うお米として鳥取県が開発した「プリンセスかおり」もパックご飯になり、2023年から販売が始まっています。
ほかほかに温まっているパックご飯商戦に今後も目が離せません。