上越市茶屋ケ原 漂着の漁船撤去 能登半島地震 土砂崩落現場近くで解体、積み込み作業

15日に上越市茶屋ケ原で行われた漂着漁船の撤去作業。前日に解体した船を、少しずつクレーン車で運び出した

能登半島地震による津波の影響で上越市茶屋ケ原の海岸に漂着した漁船の解体・撤去作業が14、15の両日、行われた。地震発生から2カ月以上がたち、持ち主への返却も進んでいるが、見通しが立たない船もあるという。

上越海上保安署によると、14日時点で上越、糸魚川両市の海岸に漂着した漁船は22隻。いずれも20トン以下の小型船だという。県や県上越、糸魚川両地域振興局によると、同日時点で上越市4隻、糸魚川市2隻が処分済み。また上越市4隻、糸魚川市2隻が所有者へ返却、または一時保管中。

茶屋ケ原の漁船撤去は、牛木組(名立区名立大町)が担当。漁船は、石川県珠洲市の個人が所有する5トンの底引き網漁用だという。現場は国道8号の土砂崩落現場近く。海岸沿いの岩場に漂着し、船底とエンジンが損壊したため、その場で解体、撤去する方針となった。

全ての作業は14日に実施予定だったが、しけのため同日は解体のみに変更し、15日に撤去作業を行った。国道を片側交互通行にし、大型クレーンで解体した船体をつり上げ、トラックに積み込んだ。

現場責任者の宇田真人さん(47)によると、今回は船の所有者が加入する保険で撤去費用が賄われたが、「保険未加入の場合、費用の用意などで作業までに時間がかかっているケースもあると聞いている」。また、石川県では地震による海底隆起などで漁港再開のめどが立たず、漁船が無事でも撤去作業を待つ人もいるという。名立区内のもう1隻も予定されており、宇田さんは「被災されている方はこちら以上に苦労されている。できることで対応したい」と語った。

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