「乖離が、すごくショックで...」南雄太が引退決断のきっかけを激白!「体力は大丈夫だった」

GKのJリーグ通算最多出場記録を持つ南雄太氏が3月15日、元日本代表FW播戸竜二氏の公式YouTubeチャンネルに出演。昨年、現役引退を決意したきっかけを明かした。

【動画】レジェンドGK南雄太が現役引退を振り返る
44歳でユニホームを脱いだ南氏は、播戸氏に体力の限界だったのかと問われると、「体力は大丈夫だった。やるだけだったら、あと2、3年できると思っていた。身体は動くし」と答える。

2022年5月にアキレス腱を断裂。懸命なリハビリを経て、翌年1月にチームに合流していた。その後、「1回も離脱したことなかったし、アキレス腱も平気だし。ただ、問題はクオリティのところで。そこの水準が自分のなかでは戻ってこなかった。それが一番かな」と振り返る。

アキレス腱を断裂した人から聞いた、元のパフォーマンスに戻るまでに復帰してから1年ほどかかるという話を参考に、24年シーズンもプレーする意向だった。

「もう1年、今年のシーズンやって、初めてそこに行けるんだとイメージしていたから。シーズン途中まで、もう1年やりたいと正直思っていた。そういう気持ちは持っていたし、リハビリとか全体合流していくなかで、これだったら何とかなるかな、と思い始めていて、夏ぐらいに」

6月には公式戦に復帰。夏までは自身の思いと実際の動きに差があり苦しんだが、良化への手ごたえを感じるなかで“決断の日”を迎える。

チームがJ2残留争いに巻き込まれていた9月下旬だった。レギュラーを務めていた笠原昂史がインフルエンザにかかり、試合出場が不可能に。それまで出番はなかったがベンチ入りが続いていた南氏がチャンスが来たと思っていた次戦の数日前、監督に呼び出される。

「呼ばれた瞬間に『あ、これ今週はないんだ』と察した。絶対そうだなと。それで行ったら案の定、『今週、(志村)滉で行きたい。ずっとサブでやってきてくれて、頑張ってきてくれて、ここで使えないのは申し訳ないけど、チームのために頑張ってほしい』と言われて」

まさかのスタメン落ち。監督やコーチの判断に対しては納得したものの、自身に対する評価に衝撃を受けたという。

「俺の立場、ベテラン。チームが勝てない、残留争いしている。これだけ苦しい状況のなか、今、このタイミングで俺がチョイスされないなら、俺の存在意義はもうないなと思った。

あと、自分の調子が夏以降良くなってきたと思っていて、いま出たら結構良いプレーができるのではないかと思っていた。それが、評価する側とこれだけギャップがあるのが俺のなかで一番ショックだった。自分が良いと思っていたのが、周りからはズレて見えている。そこが乖離していることが、すごくショックで」

サッカーを辞めようと思ったのは、26年間のプロ生活で初だったという南氏。その後もその気持ちは変わることなく10月に引退を発表。惜しまれつつ、偉大なキャリアに終止符を打ったのだった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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