石巻・大川小児童の実話、本に 芽吹いた朝顔「一緒だよ」

自主制作した児童書「朝顔の声」を手にする童話作家の千葉直美さん=12日、宮城県石巻市

 2011年3月の東日本大震災で児童・教職員計84人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童をモデルに、石巻市在住の童話作家千葉直美さん(61)が児童書「朝顔の声」を自主制作した。児童が残した朝顔の種を両親がまき、芽が出た実話を基にした。千葉さんは「いつも一緒だよ、というメッセージだと思う。命の大切さを知ってほしい」と話す。

 モデルは佐藤美広さん(62)、とも子さん(60)夫妻の一人息子で、津波で犠牲になった3年生の健太君=当時(9)。震災後、とも子さんは健太君の机の引き出しから鉛筆で「みらいのじぶんへ」と書かれた小さな袋を見つける。中に入った朝顔の種20粒の一部を14年、庭にまくと芽が二つ出たという。

 新聞記事でこの話を知った千葉さんは、知人を通じてとも子さんに会い、電話などで取材を重ねた。人懐っこかった健太君が1年生の時に育てた朝顔から種を採り、近所にお裾分けしたこと、両親が健太君の写真の前で毎晩眠り「会いたい」と願っているエピソードなども物語に盛り込んだ。

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