県産果樹情報発信拠点「フルーツ・ステーション」の事業費を計上した2024年度一般会計当初予算案が、13日に県議会農林水産常任委員会で否決されたことを受け、県は15日、本会議で同予算案を撤回した。引き続き関連事業費4854万円を全額削除した予算案を改めて提案し、可決された。修正後の一般会計当初予算は総額6497億8345万円となった。
この事業を巡る予算撤回は2年前に続き2回目。基本計画案によると、同拠点施設整備は県産果樹の生産振興とブランド力の強化が目的。寒河江市の県最上川ふるさと総合公園に、学習・展示施設やスマート農業技術の実演エリア、宿泊機能付きレストラン、カフェ・ショップなどを整備する方針だった。
設計・整備費は概算18億8千万円で、うち県負担分8億4千万円としていた。維持管理費は、既存公園施設分とは別に年間7千万円の県負担を見込んでいた。併せて県内各地に拠点整備を促し、ネットワークの形成を目指していた。
県議会最大会派・自民は、公費負担の大きさや立地選定、ネットワーク化構想の未確定などを理由に、13日の農林水産常任委で当初予算案を否決した。吉村美栄子知事は審議のやり直しを求める「再議」に付す構えだったが、議会の重みを考えるとして予算撤回を選択した。
県議会はこの日午前の本会議で当初予算案の撤回を承認し、吉村知事が再提案の理由を説明した。各常任委の審査を経て午後に本会議を再開し、再提案予算など24年度関連の計64議案を可決した。県山形新幹線トンネル整備基金条例の設定に共産党2人が反対した。
デジタル社会のスムーズな行政手続きの推進に関する請願1件を採択、繰越明許費を追加する23年度の一般会計と港湾整備事業特別会計の補正予算案2件を上程し、各常任委に付託した。