碩田学園美術部が「瓜生島」伝説を紙芝居に 別府湾に沈んだ島…住民の依頼受け制作【大分県】

紙芝居の制作に取り組む碩田学園の美術部員と清水進正さん(2列目右端)ら=大分市の碩田学園
神社を描く美術部員

 【大分】大分市碩田町の碩田学園美術部は、別府湾に沈んだ「瓜生(うりゅう)島」伝説を題材に紙芝居を制作している。地元住民からの依頼で、完成後は校区の保育所に寄贈する。「地域の歴史と部員みんなの頑張りが届いてほしい」と総仕上げにかかっている。

 瓜生島は1596年の慶長豊後地震で別府湾に沈没したとされる。同市勢家町の沖合にあったというのが有力な説。

 制作を依頼した同市浜町北の清水進正(のぶただ)さん(80)は、2007年から町内にある恵比須(えびす)神社の由緒を調査研究。「瓜生島から流れ着いたご神体を祭った」と記された資料などを基に物語を編んだ。地震発生時の行動を考えさせる内容にもなっている。

 清水さんの物語を基に、美術部に所属する7、8年生12人が昨年12月から分担して制作。顧問の渡海玲子教諭らにアドバイスをもらい、A3サイズの厚手の画用紙8枚に島や神社のこま犬などを描いていった。

 8年の湯浅桃空(とあ)部長(14)は「美術部の活動は外から見えづらいので、大仕事をもらいうれしかった。どう表現すれば伝わるか、部員で何度も話し合った」という。

 担当したのは島の人々が津波に襲われるシーン。細かい描写は避け、逃げ惑う足元をアップで描いて緊迫感を演出した。

 沈む島を描いた8年の小川彩音さん(14)は「美しい姿で跡形もなく消えた島を表現するため、透き通ったブルーで穏やかな海を描いた。子どもたちの記憶に少しでも残ってほしい」。

 今月末、同市新川西の浜町保育所に贈る。清水さんは「子どもの夢と空想力を育み、地元の宝である伝説を後世につなぎたい」と願う。

 湯浅部長は「紙芝居を見た園児が地域に興味を持ち将来、美術部に入ってくれたらいいな」と話した。

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