『デューン 砂の惑星PART2』を観る前におさらい! 主人公ポールの“3つの呼び名”

リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、鳥取砂丘に行きたい花沢が『デューン 砂の惑星PART2』をプッシュします。

■『デューン 砂の惑星PART2』

とうとうこの日がやってきました。待ちに待った『デューン 砂の惑星PART2』の公開日です。前作『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開されたのが、2021年10月。ハリウッドのストライキで本来の公開日から半年近く延期されたこともあり、この日を今か今かと待っていた人も多いのではないでしょうか。

1作目の『DUNE/デューン』を観たとき、何かとてつもなくすごい歴史が誕生する瞬間を見届けたような感動がありました。この衝撃は『スター・ウォーズ/新たなる希望』(1977年)を公開当時に観た人の感覚に近いのではないかと思うほど、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の描く壮大な叙事詩に心を奪われました。

ネタバレをせずに、続編である『デューン 砂の惑星PART2』についてお伝えしたいのは、1作目にあまりノレなかった人にもぜひ観てもらいたいということです。第1作は、世界観やキャラクターの紹介、この後に控える大河ドラマへの伏線としての側面が強く、何より雰囲気重視のゆったりとした筋運びに退屈を覚えた人も多かったと思います。

その分、原作小説の白眉ともいえるパートは、ほぼこのPART2に凝縮されていると言っても過言ではありません。本シリーズは3部作になる予定ですが、今回は「起承転結」でいう「承」と「転」。前作で全てを失ったポールが、皇帝の座に手をかけるまでの逆転劇が描かれます。

そういうわけで、PART1が面白かった人もそうでもなかった人も、ぜひ今作を観ていただきたいのですが、問題は予習をしていないと、よくわからないカタカナ語がわんさか出てくるということ。筆者と同じように、前作を劇場で観たきり観返していない人。もしくは、今作をいきなり観ようとしている人は、間違いなく混乱します。そもそも主人公のポールが、なんだかいろいろな名前で呼ばれているのです。

そこで簡単にではありますが、ポールの呼び名を中心に、Part2を観る前におさらいしておきたいポイントをまとめてご紹介します。

①ポール・アトレイデス
主人公ポール・アトレイデスは、父レト公爵と母ジェシカの間に生まれ、ゆくゆくはアトレイデス家の当主として、砂の惑星アラキスを治めるはずでした。ところが、敵対関係にあるハルコンネン家に急襲され、父も仲間たちもみんな殺されてしまいます。しかも、ハルコンネン家による暗殺は、銀河の最高権力者である“皇帝”のお墨付き。居場所を失い、殺されかけていたポールは、先住民族であるフレメンに助けられます。

②リサーン・アル=ガイブ

ポールが先住民族フレメンの間で呼ばれるのが、「リサーン・アル=ガイブ」という名前。これはフレメンの間で救世主として信じられている存在です。伝説では「外界からフレメンたちを導き、理想の世界へと連れて行ってくれる」と予言されており、ポールの生い立ちと重なることから、一部のフレメンはポールを「リサーン・アル=ガイブ」と呼んで敬います。

今作で、ポールはフレメンを味方につけるため、この「リサーン・アル=ガイブ」の伝説をうまく利用していくことになります。

③クイサッツ・ハデラック
一方、母ジェシカが所属する“女性だけの集団”ベネ・ゲセリットで信じられているのが、「クイサッツ・ハデラック」です。クイサッツ・ハデラックも、リサーン・アル=ガイブと同じく救世主として予言されていて、過去や未来を見る能力を持つと言われています。ベネ・ゲセリットは、クイサッツ・ハデラックを人為的に生み出すべく、権力者との間に子どもを作り、血統を陰ながらコントロールしてきました。

しかし、本当は女の子を生むはずだったジェシカが、レトへの愛から男の子を出産(ベネ・ゲセリットは、生まれる子の性別をコントロールすることが可能)。計画が狂い、ポールは予定よりも早く生まれてきたクイサッツ・ハデラックとして、特殊能力を持つことになります。

今作では、上記の3つの呼び名に加えて、さらに2個くらい名前が増えますが、それは劇中で説明があるのでご心配なく。「皇帝&ハルコンネン家」と「フレメン」、さらに「ベネ・ゲセリット」のざっくり3勢力があり、ポールがそれぞれの思惑に巻き込まれつつ、時に利用していくということがわかっていれば、あまり混乱はしないはずです。

“今世紀最大のSF超大作”とも呼ばれる『デューン 砂の惑星』。みなさんもぜひ劇場で観てみてください。

(文=花沢香里奈)

© 株式会社blueprint