まちがい直し

 中学生や高校生の頃-。こんなもの、もう見るのもイヤなのに…とため息をついたり、舌打ちしたりしながら、答案用紙の「まちがい直し」に取り組んだ経験は誰にもあるはずだ▲しかし、大切なのは同じ間違いを繰り返さないこと。テストで「○」をもらえなかった問題を丹念に復習することは、おそらく昔も今も自分の弱点を発見し、克服するための最も効果的な方法の一つだ▲本県の申請が「不認定」とされたカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備構想で、大石賢吾知事が国に対する行政不服審査請求を見送ることを正式に表明した。誘致の再挑戦にも極めて慎重な姿勢を示している▲審査請求を起こしても結論が覆ることなど考えられないのだから、見送り自体は自然な結論だろう。ただ、そのことと経過の検証は別の話だ。不認定の答案の「間違い直し」はまだ途上のように思える▲一番の理由は何だったのだろう。「最大3カ所」の構想に2カ所しか手が挙がらず、何か油断や誤解や楽観が生じたのだろうか、何かのリサーチ不足だろうか、それとも実は途中から諦め半分だったか…あれこれ想像で語るだけでは、大した教訓は生まれまい▲「大切なのは負けたあと」と語ったのは将棋の故米長邦雄さん。強い棋士ほど感想戦が熱心で丁寧で長い。(智)

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