発砲した拳銃に適合せず…蕨郵便局立てこもり、実弾所持などの容疑で87歳男追送検 弾と適合の拳銃は未発見

蕨署=埼玉県蕨市錦町

 昨年10月31日、埼玉県蕨市の蕨郵便局に拳銃を持った男が女性局員2人を人質に8時間立てこもり、逮捕された事件で、実弾を所持していたなどとして、蕨署特別捜査班は15日、銃刀法違反(実包所持)と消防法違反の疑いで住所不定、無職の男(87)をさいたま地検に追送検した。

 追送検容疑は昨年10月31日午後10時27分ごろ、蕨郵便局で実弾15発を所持。同日午後1時29分ごろ、同局前のコインパーキングから局まで、ガソリン約6.2リットルを18リットル用ポリタンクに入れてキャリーカートに積み運搬した疑い。いずれの事実も認めているという。

 県警によると、所持していた実弾15発は、いずれも戸田中央総合病院や郵便局周辺で警戒していた警察官らに発砲したトカレフには適合しない弾。男は所持理由の詳細を供述しておらず、今回の弾に適合するとみられる回転式拳銃について、県警はこれまでに放火した容疑者宅アパートや移動経路などを捜索したが、発見には至っていない。

 局内に運んだガソリンは、犯行2週間前に戸田市内のセルフ式ガソリンスタンドで購入したとみられ、犯行前日の10月30日夕方にガソリンを積んだレンタカーを局前のコインパーキングに止めていた。ガソリンは18リットル用ポリタンクのほかに、10リットル容器にも約5.85リットルを入れて現場に持ち込んでいた。

 さいたま地検は、今年1月9日から男の鑑定留置を実施。4月12日まで、刑事責任能力の有無を調べる。

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