〈浪費〉と〈後悔〉を繰り返さないために、今日から実行できる〈1日10分〉の「ある習慣」とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

やりたいことがなく無駄な時間を過ごしてしまったり、やりたいことはあってもなかなか踏み出せなかったり、といった状況を経験したことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、「何かに夢中になる時間がないことで、時間やお金を浪費し、不安や悩みにもとらわれやすくなる」と、ベストセラー作家の有川真由美氏は警告します。有川氏の著書『お金の不安がなくなる小さな習慣』より、解決策を見ていきましょう。

興味をもったら、すぐに「小さく試す」

「やりたいことがない」という人は、とかく時間もお金も浪費することが多いものです。

目的もなくテレビやスマホを見ていたり、「最近なにもいいことがないな」と飲みに行ったりギャンブルをしたりすることもあります。

いえ、ほんとうはやりたいと思うことがあっても、心の奥にしまい込んで忘れているのかもしれません。

顔を上げてまわりを見渡してみると、子どもがワクワクするように「面白そうだな」「楽しそう」「もっと知りたい」「見てみたい」「行ってみたい」「やってみたい」と、知的好奇心をそそるものがあるはず。それを「いつかやろう」ではなく、できるだけすぐに小さく試すのです。楽しくなければ、すぐにやめればいいのですから。

仕事もむずかしく考えず、興味をもったら「ちょっとやってみようかな」と試してみればいいではありませんか。私は50職種以上の仕事をやってきましたが、結果がどうのではなく、夢中になった時間そのものが財産だと思うのです。

それに「やりたいこと」は、やる前は「やってみたいこと」にすぎません。試してみなければ、「やりたいこと」「深めたいこと」にはたどりつけないのです。

習いごと、スポーツ、楽器、読書、旅、料理、スキルの習得や資格など「やってみたいこと」がたくさんあるのは歓迎すべきこと。人生の時間を「やるべき(と思い込んでいる)こと」から「やってみたいこと」にどんどん置き換えていきましょう。

脅かすようですが、時短勤務や定年退職などでヒマができても、夢中になれる時間がなければ、よからぬことに時間もお金も浪費してロクなことはありません。不安や悩みにもとらわれやすくなります。

心身の健康のためにも、ゆたかな人生のためにも、まずひとつ、試してみませんか。

1日30分、未来のために時間を“投資”する

何歳になってもお金の不安がない人は、お金を貯蓄や投資するだけでなく、未来の自分のために“時間の投資”をしてきた人だと感じます。

時間も、お金と同じで使い方は「消費」「浪費」「貯蓄・投資」の3つ。

ただし、時間の場合は、お金のように貯蓄することができないので、「いま、時間をなにに使うか」がすべてです。

「消費」「浪費」「投資」の違いを少し整理してみましょう。

時間の「消費」は、価値が同等のもの(生活費を稼ぐための労働、睡眠や食事、買い物、通勤など生活時間)に時間を使うこと。時間の「浪費」は、価値が下がるもの(だらだらとネットやテレビを見ること、行きたくない飲み会など)、時間の「投資」は、価値が上がるもの(スキル習得や学びの時間、健康管理の時間、大事な人と過ごす時間、新しい体験をする時間など)に時間を使うことです。

心情の面から考えると「もったいない時間だった」と思うのが浪費、「いい時間だった」と思うのが投資。ときには「しんどかったが、いま考えるとあの時間があったから、いまがある」と思える投資の時間もあるかもしれません。

ほかにも親孝行や旅行は心の栄養になり、自己肯定感を上げる機会、人と出逢ったり、交流したりするのは学びや信頼関係を築く機会なので“投資”といえるでしょう。

そんなふうに、未来の自分の価値を高める時間、自分の世界を広げる時間を、1日30分でも意識してもとうではありませんか。それは未来への“準備”になります。

できれば、最低ひとつは1日のルーティンに組み込んで確保したいものですが、日ごろ、仕事と生活で余裕がないのであれば、休日に2時間など工夫して。

自分を高めることを習慣にしてきた人と、そうでない人の違いは、膨大な時間の差になり、10年後、20年後はまったく違う環境にいるはずです。

1日10分でできる“ある習慣”が人生にとって大切なワケ

昭和の作家、今東光さんが「人生とはなんですか?」と問われたときの答えは……。

「人生はな、冥土までの暇つぶしや。だから、上等の暇つぶしをせにゃあかんのだ」

私もたびたび、この達観した言葉を思い出して、同じように自分につぶやくのです。私たちが人生に迷うのは、「どう生きるのが正解か」と、生き方に正解を求めてしまうから。まわりの目が気になったり、人と比べて無力感を味わったり、人の言うことに傷つき振り回されて、「自分はどうしたいのか」がわからなくなるのです。

だから、1日10分でもいい。“ひとり作戦会議”を開いて、「ほんとうのところ、どうしたいの?」と自分の本音を聞き出そうではありませんか。

一日中、育児や介護で家族と一緒、長時間労働で同僚と一緒という人ほど、素の自分に戻る時間は必要。人の期待に応えてばかりだと、自分の期待や本音を見失って、心が泣いていることもあるはず。それを放っておくと、体の不調として表れてきます。ひとりの場所がなければ、お風呂や通勤時間にひとり作戦会議をしてもいいでしょう。

時間やお金の使い方を考えるときも、「自分はどんな生き方をしたいのか」という自分への期待がわかっていないと、浪費と後悔を繰り返すことになります。

「どう生きるかは、それぞれの計らい」というのも今東光さんの言葉。暇つぶしでも、ひとり旅の計画を練るように、自分で考えて実行する必要があるのです。

ひとりの時間は、自分を客観的に見つめる機会でもあります。賢い親友になったつもりで自分を見つめ「いま、心と体は大丈夫?」「ほんとうはどうしたい?」「どんな自分でありたい?」「優先事項はなに?」などと問いかけましょう。

思っていることを紙に書き出すのも、本音が言語化できるのでおすすめです。

ひとり作戦会議をする習慣で、“極上の暇つぶし”を楽しんでください。

有川 真由美
作家

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