「たった1人の卒業生」誇り胸に 本年度で閉校 対馬・豊小

在校生がつくったアーチを両親とくぐり、学びやを後にする武末さん(左)=対馬市立豊小

 統廃合に伴い本年度末で閉校する長崎県対馬市上対馬町の市立豊小(福田浩久校長、15人)で15日、最後の卒業式があり、ただ1人の卒業生、武末桜來(さくら)さん(12)が教職員や在校生らに見送られ、新たな一歩を踏み出した。
 同校は1874(明治7)年開校。対馬最北端に位置し、校区内に航空自衛隊海栗島分屯基地があることから、転勤で対馬に来た隊員の子どもも通う。武末さん含め、これまでに974人の卒業生を輩出。新年度からは同町の市立比田勝小に統合される。
 武末さんは豊地区出身。1年時には3人の同級生がいたが、相次ぐ転校で6年時には同学年は1人だけになった。同校によると、部活で陸上やバスケットボールに打ち込み、後輩たちの面倒見がよいという。
 親族など約50人が出席した卒業式で、福田校長は「一生懸命頑張った失敗は必ず成功につながる。うまくいかないときは、豊小で頑張ったことを思い出して」と式辞。全校児童で「また会う日まで」を合唱した。
 地元の比田勝中に進学する武末さん。将来の夢は小学校の教員という。「豊小最後の卒業生として誇りを持ち、友だちづくりや部活動、勉強を頑張りたい」。在校生によるカラフルなアーチをくぐり、思い出が詰まった学びやを後にした。

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