長崎県立大発ベンチャー企業、タイの貿易会社と連携協定 長崎和牛など販路拡大

連携協定を締結した大久保代表取締役(右から3人目)、髙橋社長(同5人目)と県立大の学生ら=佐世保市役所

 長崎和牛などの輸出に向け設立された長崎県立大発のベンチャー企業「西九州商事」(佐世保市、大久保文博代表取締役)が15日、タイの貿易会社「SAMURAI DIRECT」(髙橋摂社長)と連携協定を締結した。産官学連携の取り組みを受けた販路拡大プロジェクト。佐世保市と近隣市町で生産される特産品「西九州食財」の輸出も視野に事業を展開する。
 大久保代表取締役は同大国際経営学科の専任講師で、東南アジアのビジネスなどを専門とする。市から長崎和牛の販路拡大の相談を受け、産官学5組織が連携した協議会を経て、昨年12月、大久保代表取締役が個人で同商事を立ち上げた。タイの貿易会社も今事業に向けて設立された。
 計画では今春以降、市食肉センターから購入した佐世保産を中心にした長崎和牛をタイに輸出。日本食の浸透によって需要拡大が見込まれる中、年間20~30頭規模の輸出を目標にしている。
 大久保代表取締役は「長崎和牛のタイ、そしてベトナム、東南アジア地域への輸出を展開したい。さらに西九州食財も想定。佐世保とタイの架け橋になるよう、地域商社として貢献したい」と語った。
 宮島大典市長立ち会いの下、市役所で調印式があった。宮島市長は「和牛の振興については問題意識を持っていた。飼料高騰、後継者不足など取り巻く環境は厳しい。国内消費の先細りが懸念され、時宜を得た取り組み。成果を期待する」とあいさつした。
 同大大久保ゼミの学生有志が市場調査、マーケティング戦略などに携わった。国際経営学科2年の井之上陽香さん(20)は「自分たちなりに輸出国へのアプローチ方法などを探ってきた。これからも地域商社に対して何ができるかを考えていきたい」と語った。

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