《つかめ日本一 健大7度目のセンバツ》(上)新基準バット 打撃勝負を貫く 低反発に対応、ミート力強化

箱山主将(右)を筆頭に強打者がそろう健大ナイン。昨秋の関東大会初戦では鹿島学園(茨城)から7点を奪って喜びを爆発させた=宇都宮清原球場

 第96回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)に、群馬県の健大高崎が2年連続で出場する。強力打線と好投手を擁し、青柳博文監督が「日本一を狙える戦力がそろう」と評する今年のナインが目指す野球とは。今大会から導入される新基準の低反発バットへの対応や、チームの成長の歩みを追った。

出場校中トップ

 新基準バットは、高校野球にどんな変化をもたらすのか。今大会は各校の戦い方に注目が集まる。導入の主な目的は、鋭い打球による事故防止。金属バットの反発力を抑えることで、打球速度や飛距離は大幅に落ちると予想されている。

 そんな中、強打者をそろえる健大高崎は、あくまで打力で勝負する姿勢を貫く。従来のバットで戦った昨秋の公式戦では、チーム打率3割9分7厘をマーク。選抜に出場する32校中トップの数字を残している。

 主砲の箱山遥人主将は「自分たちの売りは強打。バットが変わったからこそ、打てるチームが勝ち上がると思う」と力を込める。新バットは昨年11月から使用。“飛ばない”バットでも長打を放つため、体づくりやミート力強化に励んできた。

 この冬、1番に取り組んだのはウエートトレーニング。食事量も増やしてパワーを付けた。その結果、チーム平均でベンチプレスは97キロ、体重は78キロと、同校歴代で最高値を記録した。打撃練習に木製バットも取り入れ、球を芯で捉える感覚を磨いた。

 成果は既に現れている。今月行った練習試合は全10試合で勝利を収め、そのうち4試合は2桁得点。本塁打を含めて長打も数多く出ている。この力を甲子園の舞台でも発揮できれば、悲願の全国制覇は大きく近づく。

機動破壊に限界

 2002年創部の健大高崎は、甲子園に春夏通算8度出場。積極的な走塁で相手を揺さぶる「機動破壊」を武器に全国の強豪を破り、12年春に4強、14年夏と15年春、17年春は8強という成績を残した。しかし全国の頂点には届かず、指導陣は「足だけでは日本一を取れない」と限界を感じていた。

 そこで近年は、よりダイナミックな打撃で観客を魅了する「スペクタクルベースボール」を掲げる。強打者が全国から集まるようになったこともあり、青柳博文監督は「細かい技術も教えているが、選手の将来につながるように試合では伸び伸び打たせてやりたい」と長期的な視点で指導に当たっている。

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