かのビートルズのコピーバンドとして、1990年代後半を中心に国内外で精力的にライブ活動を展開し、人気を博した「THEくらよしビートルズ」。
しかし、人気絶頂とも言える2001年に突如活動休止を発表しました。
あれから早20年以上…あの、伝説のバンドは、今どうなっているのでしょうか?
「THEくらよしビートルズ」は、その名の通り、鳥取県倉吉市で誕生しました。
ジョン・レノンパートは、リーダーでギター担当の中本進一さん、リンゴ・スターパートはドラムスの小西裕之さん、ポール・マッカートニーパートはベースの住吉裕志さん、ジョージ・ハリスンパートはギターの穐近亮士さん。
倉吉東高校ラグビー部の先輩・後輩の4人が集まり、1993年に結成されました。
そして翌年、ファーストライブを成功させると、オファーが急増。
県内外で年間40ステージをこなす人気ぶりでした。
そして、結成からわずか4年後の1997年には、なんとビートルズを生んだイギリスでのライブツアーを実現。
現地ではテレビ・ラジオなどの取材が殺到するほど、話題を集めました。
そして、翌1998年以降、毎年リバプールで開催されるビートルズフェスティバルに4年連続で出演。
海外での認知度は高まる一方でした。
しかし…
バンドの絶頂期の2001年、突然、活動休止を発表。
表舞台から姿を消しました…。
それは、リーダーを襲った病が原因でした。
Q.人気絶頂での活動休止について
THEくらよしビートルズ
ギター 中本進一リーダー
「絶好調でしたね。もう5度目のイギリス公演もブッキングされていて、すべてツアーの内容も決まってたんですね。およそ10年、ほぼ何もできなかったですからね、辛かったですよね」
その後、懸命にリハビリを続ける中本さんをサポートすべく長年バンドを支えてきた、北中彰拡さん(ギター)を正式にメンバーとして迎え、活動休止から11年の時を経て、2012年、ついにくらよしビートルズは復活、5人組となって活動を再開しました。
結成当時は20代だったメンバーも、いまは全員が50代。
仕事や家庭に支障の無い範囲で、年に5~6回程度のライブを行なっています。
バンド結成から30年、一番の思い出は何か、メンバーに尋ねました。
ドラムス担当の小西裕之さんは、地元の高等特別支援学校に勤務。
小学生の頃からビートルズを聴き始めたという、生粋のビートルマニアです。
THEくらよしビートルズ ドラムス 小西裕之さん(52)
「イギリスでライブをやったことですかね。ビートルズが生まれた町、ここはリバプールのキャバンクラブかということばっかり頭にフワフワしていて、どんな演奏だったか、あんまり覚えてないですね」
ベース担当の住吉裕志さんは、表具店の2代目。
作業場の壁には思い出のポスターがズラリと貼ってあります。
THEくらよしビートルズベース 住吉裕志さん
「毎年リバプールでインターナショナルビートルウィークという祭りがあるんですけども、なんかこちらも本物のビートルズになったような疑似体験というか、世界各国お客さんが来ていた祭りなので、世界の人を熱狂させられたかなというような感覚」
ギター担当の北中彰拡さん。
設計事務所の代表で、イギリス公演の記念に購入したギターを大切にしています。
THEくらよしビートルズ ギター 北中彰拡さん
「セントアンドリュース大学の講堂でやったのが一番印象的でして、本当に盛り上がって怖いなあと思うぐらいの熱狂で、本当に楽しんでもらえてるんだなっていうのを実感しました」
ギター担当の穐近亮士さんは、リフォーム会社の社長。
オフィスの棚には、ビートルズのレコードが飾られています。
THEくらよしビートルズ ギター 穐近亮士さん
「イギリスに初めて行く前に倉吉でコンサートをして、その当時、自分の全てをそこに捧げてたというか。超満員だったんですが、地域の一員として頑張っていきたいな、頑張っていけるなっていう気になった。僕の中では心に残ってる気がします」
そして、リーダーでギター担当の中本進一さん。
倉吉市内にある会社の社長で、会社の一角にレンタルスタジオまで作っちゃいました。
THEくらよしビートルズ ギター 中本進一リーダー
「活動の中ではイギリス公演ができたこと。4年連続行ってますんで、数多くの場所でイギリスを縦断するようなツアーコンサートも経験しましたし、何から何まで初めての経験で、大変な挑戦でしたけど、一生忘れることのできない、楽しい、嬉しい経験でした」
そんな「THEくらよしビートルズ」、じつは今年、バンド結成30周年の記念ライブを実現したいと考えているとのこと。
中本進一リーダー
「ぜひとも30周年記念ライブをやってみたいと思いますね」
果たして、どんなライブになるのでしょうか?
Q.30周年記念ライブのテーマは?
小西さん
「結成した頃を思い出して、ちょっと、ロックンロールいいな」
住吉さん
「ロックンロールだったら誰にも負けない自信はみんなあったと思う。世界に行っても僕ら絶対に負けんなって自信はあったし、お客さんを盛り上げられるなっていうのはあります」
穐近さん
「スイッチが入れば何とかなるんかな」
中本さん
「じゃあ、30周年記念コンサートは、ロックンロールをテーマでやってみようかな」
「ロックンロールで行こう、老体に鞭打って!」
復活を遂げ、30周年を迎えた「THEくらよしビートルズ」、メンバーそれぞれの思いは・・・。
住吉さん
「家族以上の付き合いというか、出来なくなるまでやりたいなと思います」
穐近さん
「最高のコミュニティというか、僕にとっていい場所です」
小西さん
「生きるための目標のうちの一つですね」
北中さん
「もし無くなるようなことがあれば、僕も一緒に無くなってしまうというぐらい、大事なバンドです」
中本さん
「自分を成長させてくれたと思ってますし、今後もそうありたいと思ってますし、僕にとっては最高の教育機関だというふうに思います」
結成から30年経った今も、メンバー全員がふるさと倉吉市で暮らしている、伝説のバンド「THEくらよしビートルズ」。
大好きな音楽で結ばれた5人の絆は、どんなに時が経とうと決して変わることはないのだと感じます。