長生きする習慣は「マスクで風邪を予防する」「うがいで風邪を予防する」どっち?

(※写真はイメージです/PIXTA)

どうすれば健康で長生きできるのか? それは100歳でも元気でいられるような習慣を選択することです。内科専門医・秋津壽男氏の著書『100歳でも元気なのはどっち? 長生きする人・しない人の習慣』にはその習慣がまとめられているので、一部を抜粋して紹介しましょう。

どうやって感染症予防する?

感染症の予防方法が大きな注目を集めていますが、テレビやネットには情報が多くて何を参考にするべきかと悩んだ経験のある人もいるでしょう。

私たちが普段使っている市販のマスクには、くしゃみで飛んでくる唾液などの飛沫をブロックしてくれる効果はありますが、空中に浮かんでいるウイルスまで防ぐことはできません。

また、マスク着用によって呼吸が浅くなり酸欠や自律神経異常を起こすといったデメリットを挙げてマスク不要論を唱える人もいます。

マスクは体に悪いのか?

確かに、マスクの予防効果についてのエビデンスは限られており、マスク不要論が出てくるのも無理はありません。しかし、マスクが有害だとする説にも科学的根拠はないのです。

どちらかの意見を100%信じてしまうのではなく、どちらも確かな根拠はないのだと理解しながら、状況に応じてマスクの着用を判断することが大切です。

私は、家から駅までの屋外を歩いている間はマスクをしません。電車に乗ったらマスクを着用して、降りたら外します。また、室内に人が多ければマスクをする、というようにシチュエーションに合わせて使用しています

目安として、対面で1m以内に人がいる状況では、マスクを着けておくと風邪予防に効果的です。

「お茶うがい」で風邪予防

うがいについては、風邪予防の効果を示す研究結果が2005年の米国予防医学会機関誌に発表されました。

「うがい無し」と「ヨード液うがい薬でうがい」、「普通の水でうがい」を比較した実験では、うがい無しのグループは100人中26.4人が風邪にかかったのに対し、ヨード液うがいでは

23.6人、水うがいでは17.0人との結果が出ました。つまり、うがい無しに比べ、水うがいをしたグループでは発症率が約40%低下していたのです。

また、ヨード液うがい薬の予防効果はほとんど認められませんでした。これは、うがい薬を使うと、喉が無菌状態になりますが、喉にいる常在善玉菌も死んでしまうため、悪い菌が喉を通って体内に入ってしまったことが原因と考えられます。

私は患者さんには、「お茶うがい」をすすめています。

緑茶に含まれる、茶カテキンにはウイルスを抑制する効果があります。

100mlのお茶に塩をひとつまみ入れて、浸透圧を体液と同じにしてあげることで、喉への刺激が少なくなります。

巷に溢れる健康情報のどれを信じていいか迷ったときには、その情報の根拠を確かめつつ、信用できる実験結果に基づいているかを確認しましょう。

【記事のポイント】

マスクは空気中のウイルスを防ぐことはできず、エビデンスも確立しているわけではないが、反対にマスクが有害であるという根拠もないので、状況に合わせて着けて損はない。

風邪予防にはうがい薬を使わない「お茶うがい」が効果的。

秋津 壽男

医師

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