“投資の鉄則”とは異なるが…〈割安な成長銘柄〉への短期売買は「損切り不要」と言える意外なワケ【3年9ヵ月で5,975万円稼いだ個人投資家が伝授】

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株式投資において、少なからずリスクがあると言われる「短期投資」。個人投資家「テンバガー投資家X」氏も「あまり多額の資金をつぎ込みすぎないよう気をつけながら、短期投資を楽しんでいる」と言います。テンバガー投資家X氏の著書『トイレスマホで「無限10倍株」 3年9カ月で5975万円を稼いだ投資術』(KADOKAWA)より、その独自の投資手法について、詳しく見ていきましょう。

「小さな利益」を着実に積み上げるための売り戦略

買いのタイミングはパターン化しているので比較的わかりやすいのですが、売りはそう簡単にはいきません。僕の場合はとにかく欲張らず、100円ぐらいの値幅が出たら利益確定するようにしていますが、その日のうちに売れることもあれば次の決算までかかることもあります。長いと3か月ほど含み損を抱えることもあります。

それでも、損切りの目安というのは特に設けていません。5年ほどこの投資を継続していますが、含み損になってしまっても次の決算発表で救われるケースが大半だからです。割安な成長銘柄に絞って投資をしていれば一時的に株価が落ち込んでも、再評価されることが多いと実感しています。

ただ、税金対策として半年に1度、機械的に含み損が出ている銘柄を売却し、すでに出ている利益と相殺して税の還付を受けているので、このときに整理することもあります。これが実質的な損切りになっており、含み損が大きくなりすぎるのを防いでいる面もあると思います。

一般的な投資の鉄則に従えば、リスクの高い信用取引で損切りをせずに3か月も引っ張るのは典型的な負けパターンであり、僕がたまたまうまくいっているからといって人に勧められるような方法ではないと思っています。リスクを低く抑えるのであれば、やはり事前に損切りのポイントを決めて、損失を一定範囲内にとどめる戦略をとるほうが安全でしょう。

本命は「長期投資」であり、短期売買に資金をつぎ込みすぎない

王道の投資方法として、「コア・サテライト戦略」という考え方があります。安定的な成長を見込める対象をコアとして資産の大部分を投資し、リスクの高い対象にはサテライトとして少額の資金を投資するという考え方です。

一般的には、コア投資がインデックスファンドなどを利用した世界分散投資で、サテライトは個別株やFX、商品、暗号資産などと説明されることが多いようです。

僕の場合、たまたま短期投資の利益が大きくなってはいますが、基本的には厳選したIPO銘柄を現物で長期保有する投資がコアであり、短期取引はサテライトです。あまり多額の資金をつぎ込みすぎないよう気をつけながら、楽しんでいます。

皆さんも、短期投資は投資資金のごく一部に抑えたり、現物株に絞ったりして、リスクを冒しすぎないようにして行ってください。

どちらも現物で手がける場合は、証券口座を分けたほうがいいかもしれません。同じ証券会社の口座で取引すると、長期で保有する株と短期で回転させる株が一緒になってしまい、取得単価も平均されて区別できなくなってしまうからです。

異なる証券会社の口座を使うか、同じ証券会社の口座を使う場合は長期保有分をNISA口座にして、短期売買分を特定口座というふうに分けておけば、混ざってしまうことを防げます。

「短期売買」向きのIPO銘柄4つ

ここからは、僕が2023年9月時点で、短期での回転売買をしていた銘柄を紹介します。

●FPパートナー(7388)

長期投資での現物株はかなり安く投資できており、株価は4倍になっています。いつも良い決算を出してくるので、安心感のある銘柄です。23年夏以降の値動きが冴えず割安になっていますが、長期的にはまだまだ成長の余地があると考えています。

●ジャパンワランティサポート(7386)

保証会社で、何度となく回転売買をしています。以前は日本リビング保証(7320)も手がけていましたが、長期保有分を売却してからは短期売買も同業のこちらに乗り換えました。

●グッピーズ(5127)

医療・介護・福祉業界に特化した採用支援を展開する企業です。僕とは相性が良いようでこの銘柄で損を出したことがありません。

既存サービスに加えて、法人向けや自治体向けサービスを強化しており、まだ業績の伸びが期待できる銘柄だと考えています。ただ、業績計画は保守的なうえ、上方修正を出すのも遅い企業なので、期待ハズレのネガティブサプライズを呼びやすく、決算時は注意したほうがいいと思います。この銘柄に関しては、決算またぎは特にハイリスクです。

●GENDA(9166)

屋内アミューズメント施設を手がける企業です。駅前に立地する都市型店舗はもちろん、商業施設内の店舗や郊外の幹線道路沿いに立地するロードサイド型店舗など幅広いタイプの施設に対応しています。国内だけでなく海外にも展開しており、台湾や米国にも店舗を持っています。

オンラインクレーンゲームも手がけており、こちらも有望な事業だと思っています。M&Aを繰り返して規模を拡大しており、セガエンタテインメントを完全子会社化しています。

こちらは多店舗展開型のビジネスモデルも気に入っている点のひとつですが、それに加えて経営陣が良いことも評価しています。会長は屋内アミューズメント業界首位のイオンファンタジー(4343)の元社長で、彼の在任中に同社はテンバガーを達成しています。

社長は女性誌『VERY』のモデルも務めていることで注目された女性社長で、東大を卒業後ゴールドマン・サックス証券で活躍したやり手です。役員にもスクウェア・エニックスの元社長など、優秀な顔ぶれが名を連ねており、うまい経営をしてくれると期待しています。

ただし、2023年に上場したばかりで、まだ値動きが荒い点には注意が必要です。上場時から時価総額が大きいのでテンバガーは難しいとは思いますが、数倍は狙えると思っています。

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