『SING/シング:ネクストステージ』は字幕も吹替も捨てがたい 必聴のカバーソングの数々

『ミニオンズ』を生み出したイルミネーションの最新作『FLY!/フライ!』の公開を記念して、フジテレビ系『土曜プレミアム』で3月16日に『SING/シング:ネクストステージ』(2021年)が地上波初放送される。大ヒット作『SING/シング』(2016年)の続編の本作にも、アリアナ・グランデやビリー・アイリッシュなどのヒット曲が満載だ。その中から、特に注目してほしい曲を紹介しよう。

動物だけが暮らす世界で、歌のオーディションを開催し、取り壊し寸前の「ニュー・ムーン劇場」を見事に復活させた支配人のバスター・ムーン(マシュー・マコノヒー/内村光良)。彼が次に目指したのは、エンターテインメントの聖地「レッドショア・シティ」での公演だ。

バスターは仲間たちを引き連れて、ショービズ界の大物であるジミー・クリスタル(ボビー・カナヴェイル/大塚明夫)のところへオーディションを受けに行き、斬新なアイデアと持ち前のハッタリで、超一流劇場「クリスタル・タワー劇場」での公演の契約を取り付ける。だが、その契約の条件として、15年間、人前から姿を消している伝説のロック歌手、クレイ・キャロウェイ(ボノ/稲葉浩志)をキャストに迎えなければならなくなる。

本作に登場するレッドショア・シティは、ラスベガスがモデルになっていそうな派手で賑やかな街。そこで公演を行うという大きな夢を抱くバスターだが、ジミーはかなりの曲者で、夢を叶えるのは簡単ではなさそう。まず、バスターはジミーに近づくために、彼の所有するビルに、ミーナ(トリー・ケリー/MISIA)たちを連れて侵入することに。その時にかかる、ビリー・アイリッシュのヒット曲「バッド・ガイ」の怪しげな雰囲気は、侵入シーンにピッタリだ。

ビッグな企画を求めているジミーに、バスターたちがプレゼンをするシーンでは、U2の名曲「約束の地」をアッシュ(スカーレット・ヨハンソン/長澤まさみ)やジョニー(タロン・エジャトン/大橋卓弥)、ロジータ(リース・ウィザースプーン/坂本真綾)、グンター(ニック・クロール/斎藤司)、ミーナが合唱。美しい歌声に、ジミーも思わず聞き惚れる。

歌は得意だが、ダンスが苦手なジョニーが、ショーで踊らなくてはならなくなり、ストリートダンサーのヌーシー(レティーシャ・ライト/akane)に、ダンスを教えてほしいと頼む。その場面で、ショーン・メンデスの「ホールディン・ミー・バック」をジョニーが力強く歌うのだが、客が大勢いるカフェに響き渡るジョニーの歌声が最高だ。

ジミーには、ワガママな娘・ポーシャがおり、彼女はバスターが企画するショーに無理やり割り込んでくる。宙吊りになって、空を飛び回るようなシーンの練習時にポーシャが歌うのは、アリシア・キーズの「ガール・オン・ファイア」。ポーシャの声はホールジーが演じているが、日本語吹替版ではアイナ・ジ・エンドが担当している。アイナ・ジ・エンドの澄み切った歌声も必聴だ。

今回、ミーナは恋に落ちるが、その相手のアルフォンゾの声を、ファレル・ウィリアムスが演じている。ファレルと言えば、『怪盗グルーのミニオン危機一発』のサウンドトラックアルバムに収録された「ハッピー」を大ヒットさせたことで有名だが、『SING/シング:ネクストステージ』では、ミーナ役のトリー・ケリーと美しいデュエットで、ディオンヌ・ワーウィックの「小さな願い」を歌っている。日本語吹替版でアルフォンゾの声を演じたのは、SixTONESのジェシー。MISIAとジェシーのデュエットにも、ぜひ耳を傾けてほしい。

そして、『SING/シング:ネクストステージ』の一番の大物キャラクター、クレイ・キャロウェイの登場シーンでは、U2のボノの歌声を聞くことができる。クレイがアッシュと共にU2の「終わりなき旅」を歌うシーンで、ギターをかき鳴らしながら現れるクレイがものすごくカッコいい! 日本語吹替版ではB'zの稲葉浩志がクレイの声を演じ、アッシュ役の長澤まさみとのデュエットを披露している。

ボノも稲葉も大好きな筆者のような人にとっては『SING/シング:ネクストステージ』はご褒美のような映画だ。地上波初放送のこの機会に、数々のヒット曲に浸りながら、動物たちが活躍する楽しい本作を堪能してほしい。
(文=清水久美子)

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