【着物を二束三文で売る前に】人間国宝・羽田登喜男氏が手掛けた着物の査定基準や買取相場

価格がつかないと思っていた着物が高額買取される可能性も… 羽田友禅の魅力

引っ越しシーズンに片づけていたら、大層な着物が出てくることも。人間国宝・羽田登喜男氏の着物ともなれば、かなりの価格を期待してしまうでしょう。一方で、二束三文の価格しかつかず、引っ越しタイミングも相まって手放していいか迷ってしまう場合も。

京友禅と加賀友禅の特徴が共存する「羽田友禅」を生み出した羽田登喜男氏は、2008年にこの世を去るまで、数多くの作品を製作してきました。

今回は羽田登喜男氏の生涯や査定基準、着物の価値について紹介していきます。

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人間国宝 羽田登喜男氏「羽田友禅」の評価は国内外ともに高い

羽田登喜男氏の生涯

羽田登喜男氏は国内外から高い評価を受けた手描き友禅作家で、重要無形文化財「友禅」保持者でもあります。

製作者を示す「落款」を先駆けて取り入れたことで知られていて、「登喜男」と刻まれた印が有名です。右に「登」、左に「喜男」と半分ずつ角印に入れられています。

羽田登喜男氏の生涯

  • 1911年:1月14日に石川県金沢市で生誕
  • 1943年:京都友禅技術保存資格者に認定
  • 1955年:第2回日本伝統工芸展で訪問着「孔雀」が初入選
  • 1976年:藍綬褒章受章
  • 1979年:紺綬褒章受章
  • 1982年:勲四等瑞宝章受章
  • 1986年:イギリス王室ダイアナ皇太子妃へ振袖を献上
  • 1988年:人間国宝である重要無形文化財「友禅」の保持者に認定
  • 1996年:フランスのリヨン染織美術館にて「羽田家のキモノ」展を開催
  • 2004年:祇園祭蟷螂山後掛「瑞兆遊泳之図」を製作
  • 2008年:2月10日永眠、享年97歳

人間国宝 羽田登喜男氏が手掛けた着物の査定基準

羽田登喜男氏 着物の査定基準

羽田登喜男氏の作品の査定基準には以下のようなものがあげられます。

  • 落款
  • 京友禅と加賀友禅の特徴が融合した作品
  • オシドリの文様のついた作品
  • 刺繍や金箔
  • 保存状態

とくに、対極ともいわれる、京友禅のもつきらびやかさと加賀友禅がもつ写実的な要素を取り入れた作品は、羽田氏の製作したものの特徴で大きな査定要素のひとつです。

ただし、希少性も含め価値が見出されるのは、ベースとなる「作品の状態」が保たれている場合です。カビ付きや変色といった状態の悪いものや、証紙や落款などがなく作品の品質を証明できない場合には、大きな価値が付くことはありません。

現存する羽田登喜男氏の作品は希少性が非常に高いものですから、日頃から丁寧な保管を心がけ、後世に引き継いでもらいたいものです。

人間国宝 羽田登喜男氏が手掛けた着物の買取相場は今も高額

羽田登喜男氏 着物の買取相場

羽田登喜男氏の買取相場は、人間国宝が手がけた作品ということもあり、10万円を超える買取価格も珍しくはありません。

作品の状態がよく落款がある場合、50万円を超える取引もあるほどです。今後新たに製作されるものはないため、現存する作品の価値はますます高まるかもしれません。

類を見ない作品を生み出してきた羽田登喜男氏は、お弟子さんたちの育成にも力を入れてきました。今後は、羽田登喜男氏の技術や思いを継承した素晴らしい作品が世に出てくることが期待されます。

参考資料

  • 東京文化財研究所「羽田登喜男」
  • 福ちゃん「着物作家・羽田登喜男とは?買取相場はどのくらい?」
  • 福ちゃん「反物の買取相場・高く売るコツ!着物より生地の方が高く売れるかも」

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