八戸ジュニア・オーケストラ、団員募集「気軽に来て」音楽に触れられる大切な場

バイオリニストの高橋さん(左)のアドバイスを聞き、譜面にメモしながら練習に励む団員たち
多くの聴衆が詰めかけたクリスマスコンサート=昨年12月、八戸ショッピングセンターラピア

 今年で創立35周年を迎える青森県八戸市の八戸ジュニア・オーケストラ(HJO、大黒裕明会長)が団員を募集している。最盛期に60人ほどいた団員は2024年3月現在で18人。毎年恒例の定期演奏会をはじめとする各種演奏会や練習では団員OB・OGたちがサポートに回る。関係者は「地域で音楽に気軽に触れられる大切な場所」として団体を盛り上げたい考えだ。

 HJOが生まれたのは1989年3月。当時の八戸市の根城小学校教諭を中心に、市内の小中学校や高校から約60人の児童生徒が集まって結成した。翌90年9月には定期演奏会が市公会堂でスタート。その後、クリスマスコンサートも始まり、毎年各種コンサートを開くなど精力的に活動の場を増やしてきた。

 現在は小学4年生から大学2年生までの18人が在籍。月に3回程度、土曜日の午後6時半~9時に市内の公民館などで練習に励んでいる。指導に当たるのは、普段バイオリニストとして活動する専任弦楽指導者の高橋すみれさんや団員OB・OG保護者たち。定期演奏会では八戸市出身の松井慶太さんが指揮・音楽監督を務める。

 高橋さんは「楽器に触るのが初めてという状態で入ってくる子も多い。なるべく活発にコミュニケーションを取るようにして、子どもたちが主体的に『こうしよう』と思いながら演奏できるようになれば」と指導方法について語る。

 日頃の練習では、保護者たちが後ろで子どもたちの演奏を見守り、休憩に入るとお菓子を配るなど終始和やかな雰囲気だ。

 演奏会になると、団員たちはキリッとした表情で、迫力ある演奏を見せた。昨年9月に同市の白山台公民館で開いた単独演奏会では、パッヘルベルの「カノン」や「ホール・ニュー・ワールド」「ちいさい秋みつけた」など多様なジャンルの楽曲を披露。同12月、八戸ショッピングセンターラピアで行ったクリスマスコンサートでは、用意した席に聴衆が収まりきらず立ち見が多数出たほか、一般の買い物客も足を止めて聞き入っていた。

 根城小6年の時、団員だった同級生に誘われて入った伊藤祐香(ゆか)さん(八戸工業高等専門学校5年)は、同団体唯一のビオラ担当。「入った当時はうまく弾けずに緊張したけど、表現方法などを先輩に相談してアドバイスをもらうことで徐々に上達して、楽しくなってきた」。学校の吹奏楽部ではフルートを担当しており「ここは一息つけるような、気軽に音楽を楽しめる場所」と部活との違いについて語った。

 今年は9月8日、市公会堂で定期演奏会を開くHJO。初心者向けに楽器の貸し出しも行っている。秋田友香事務局長は「演奏を聴いた人からは大人顔負けと評価していただくことも多い。体験や見学だけでもいいので気軽に来てみてほしい」と呼びかけている。活動の見学や体験、問い合わせは事務局の秋田さん(電話090-4315-7906、メールhachinohejo@gmail.com)へ。

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