どんどん能登復興を応援 御陣乗太鼓、金沢に響く 3駅でイベント、特産品に人だかり〈北陸新幹線敦賀開業〉

迫力の御陣乗太鼓を繰り広げる保存会メンバー=16日午前9時15分、JR金沢駅の鼓門

 北陸新幹線の石川県内全線開業に合わせ、金沢、小松、加賀温泉のJR3駅で16日、能登半島地震の復興支援イベントが行われた。金沢駅の鼓門では青空の下、被災した輪島市名舟地区の県無形民俗文化財「御陣乗(ごじんじょ)太鼓」や能登獅子が復興を祈念するパフォーマンスを披露。地下広場では輪島塗などの特産品の販売ブースが設けられ、観光客の人だかりができた。

 御陣乗太鼓保存会は鼓門の特設ステージのトップを切って登場。400年以上前から伝わる迫力の音をとどろかせると、盛大な拍手が起きた。メンバーの江尻浩幸さん(64)は父から受け継いだ100年以上の歴史を持つ面で顔を覆い、軽やかな身のこなしで見えを切りながら激しく太鼓を打ち鳴らした。「諦めずに頑張ろうというメッセージが被災地に伝わればうれしい」と語った。

 名舟町の集落は家屋被害や土砂崩れで避難を強いられ、保存会のメンバーも散り散りになったが、開業セレモニーに合わせて稽古を重ねてきた。江尻さんは「復興すれば、また多くの人が能登を訪れてくれるはず。みんなで頑張って立て直しに貢献したい」と力を込めた。

 被災地の羽咋市千路町の獅子舞太鼓保存会も力強い演技で会場を沸かせた。

 敦賀から北陸新幹線で訪れた津市の学生浅見慎さん(25)は、インターネットで本紙の地震報道を見て心配していたといい「無事開通してよかった。能登の伝統芸能を知る貴重な機会になったので今度は能登に行きたい」と話した。

 駅構内のステージにはレスリングの「川井姉妹」として知られる津幡町出身の金城梨紗子選手と恒村友香子選手が登壇。友香子選手は「もっと石川、北陸がにぎやかになり、少しでも能登復興の力になってほしい」と思いを込めた。

 地下広場には能登物産コーナーが設けられ、七尾、輪島、能登、志賀の各市町の8店が輪島塗や能登ワイン、能登牛カレー、ワッフルなどを販売した。地震で被災し、15日にギャラリーを金沢にプレオープンさせた大藤漆器店(輪島市)の大藤孝一社長は「新幹線の延伸が能登の復興につながることを期待している」と話した。

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