K-POPの米国偏重、「得より損の方が大きい」と中国の専門家

中国メディアの環球時報は11日、「K-POPの米国偏重、得より損の方が大きい」とする論評記事を掲載した。資料写真。

中国メディアの環球時報は11日、「K-POPの米国偏重、得より損の方が大きい」とする論評記事を掲載した。筆者は中国の国家級芸術科学研究機関である中国芸術研究院の専門家ら。

記事はまず、昨年下半期に中国でのK-POPアルバム販売数が95%以上も減少したこと、SMエンタテインメント所属の女性アイドルグループ、aespa(エスパ)の新作発売初週の販売数が前作比19.8%減少し、JYPエンタテインメント所属の男性アイドルグループ、Stray Kids(ストレイキッズ)も同33.5%減少したことを受け、所属会社の株価が一斉に急落したこと、中国での販売数の減少が感知されるようになったのは昨年初夏からで、昨年6月の中国向けアルバム輸出金額は15万6000ドルと前年同月の695万4000ドルに比べて97.7%も急減したこと、昨年7~10月も同95%以上の減少となったことなどを取り上げた。

記事は「K-POPアルバムの中国向け輸出の急増は新型コロナ流行期に集中していた」とし、BLACKPINK(ブラックピンク)やBTS(ビーティーエス)に代表される韓国のアイドルグループらが、オフラインでのイベントが制限されたためSNSを積極活用して情報発信したことなどが、中国の若い世代のファン獲得とアルバム販売数の増加につながったとした。

そして、K-POPアルバムの中国向け輸出が「断崖式」に下落した原因の一つとして、韓国アイドルグループの北米偏重に中国のファンが不満を抱くようになったことを挙げ、「中国のファンは、自分たちが最大の購買力を持つ消費者グループであるにもかかわらず、ファンミーティングからライブなどの大型イベントに至るまで、米国のファンと同じ扱いを受けることができなくなったことに不満を感じている」とした。

記事は「韓流は近年、ハリウッドやシリコンバレーなどの多国籍資本と提携してその世界的なチャンネルを通じて新たな成長を遂げた一方で、各種の多国籍資本によって埋没させられつつあり、その結果として、韓国の映画・テレビドラマ産業は大きな打撃を受けている。アイドルグループの多くは、国内の一部の政治勢力によって縛り付けられ、汎政治化と汎イデオロギー化の傾向が顕著になっている。韓流が新たな発展周期において市場経済の原則を尊重せず、経営から価値観に至るまで保守化の傾向が続けば、中国市場を失うだけでなく、思い描いていたようなハリウッドやシリコンバレーなどの多国籍資本とグローバルなエンタメ市場を共有できずに世界のポップカルチャーにおけるその版図もさらに縮小することになるだろう」と論じた。(翻訳・編集/柳川)

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